第1回 初めまして
健康については、
どんな国でもどんな時代でも
日常の話題に事欠かさないし、
科学の研究課題にもなり得ると思いますが、
皆さんが注目するという点では、
このテーマが一番かと思います。
ここでは中国の独特的な認識や考え方を
皆様に紹介したいと思います。
先ず、体が健康か病気かについては
体の中に「陰陽」があり、
その状態で判断するという理論があります。
この「陰陽理論」は
中国伝統医学のコツと考えられます。
簡単にいうと、「陰陽理論」は
バランスを研究する理論で、
中医学で体の状態を解釈する理論です。
陰陽バランスを取れば健康状態といいます。
例えば昼間に元気を出していろいろな動きができる。
夜になったら睡眠をよくとる。
食事をちゃんとし、便も毎日出る。
病気状態だったら、昼間は元気がなく眠くなり、
夜にはなかなか眠れない。
食欲もあまりなく、
便は下痢をしたり便秘をしたりするというものです。
次に「気血」が体内に順調に流れると、
人間の様々な正常生理活動ができるという
中医学的な正常生理現象があります。
気血の量が十分かどうか、
流れ状況は順調かどうかは
内臓の働きと内臓間及び内臓と
体表を連結する経脈の状況との関連にあります。
最後に感情的な要素が
病気の発生発展になる
第一番の原因だという認識があります。
感情を安定させると
各内臓の機能を正常に発揮できるし、
体内の各系統のバランスの協調もできるし、
新陳代謝も正常に行なわれると考えます。
以上のような理論をもとに、
各時代の研究者が創設した健康法がたくさんあり、
大きく分けると、
「調心」「調息」「調身」「調飲食」「調睡眠」
五つの系統の内容があります。
なかでも特に調心、調息、調身の
三つの調整内容を合わせてできた
”導引”という運動法は、
簡単にでき健康効果もあります。
代表とする導引法は、
古代では「五禽戯」(ごきんぎ)
「八段錦」(はちだんきん)があり、
近代では太極拳があります。
太極拳は、中国の武術として有名になっていますが、
導引の特徴がある健康法として、
伝達するものは少ないと思います。
外見に見えない意識と呼吸を用いて、
精神心理を自己でコントロール出来るように練習します。
緩やかな動きや綺麗な和らぎのある姿は
体のバランスを取り、
体全体の協調性を高める上で大変重要です。
ある意味で、太極拳は
中国の伝統的な健康認識の成果をまとめた健康法だと思います。
日本の皆さんが
ご存知の中国の朝の景色としては、
どこの町にも、広場や公園
或いは道路の傍にちょっとでも広い歩道があれば
太極拳という運動法を行なっています。
何百年もの歴史を持っている太極拳は
中華料理のように各国で普及されていくと思います。
|