第2回
導引の元は、病気に対して治療法だ

皆さんがご存知のように中国文化の起源地は黄河流域です。
導引も黄河流域から始めて出て来ました。

有名な古代史書の『呂氏春秋』(ろししゅんじゅう)に「導引」のことが記載されています。
四、五千年前(陶唐時代)、黄河流域には川水が水道から溢れて水害が酷くなりました。住民は湿気が酷い環境に暮らしていったので、体もだるくなり筋骨もよわくなりました、其の体調を対応するために舞をして、湿邪(中医理論での病理の名前)を除去し、病状を解消しました。
当時の「舞」ということは、現代のダンスの概念ではなく、体を動いて筋肉関節を強くし気血の流れをよくする導引の始祖と考えられます。

中国伝統医学の経典医書である『黄帝内経』(こうていないけい)でも、導引は病気に対応する治療法だと記載されて証明をしました。

中央者,其地平以湿,……其病多痿厥寒熱,其治宜導引按。故導引按者,亦従中央出也。
―――『黄帝内経・素問(そもん)・異法方宜論』(いほうほうぎろん)

中央の地方(黄河流域)は、地理が平原で湿気があるところです。……その所によく見られた病気は痿症(いしょう)(筋肉関節衰弱症)厥症(けっしょう)(気血運行紊乱症)寒熱症(かんねつしょう)(寒気発熱症)など病気です。それらの病気に対する治療法は導引按を採用したほうが良い。従って、導引按という治療法は中央の地方から始めに出てきました。という導引の始まり及び効用についての考証文なのです。

導引の始まりは、湿気で筋肉関節衰弱、気血運行紊乱の病状に対応することでしたが、何千年の間に発展を経て、内臓的、精神的な方面などの多種の病気にも応用する研究や臨床などを行いました。


←前回記事へ 2002年9月14日(土) 次回記事へ→
過去記事へ
ホーム
最新記事へ