第58回
精気神と五臓六腑
これまでお話してきたように、
精気神を整えることが養生なのですが、
では、この精気神を整えるものとは
いったい何なのかといえば、
五臓六腑であるとする
中国の伝統的な考えがあります。
そこで今回からは
精気神と五臓六腑についてお話をしようと思います。
まず体の構造について、
中国の伝統的な考えでは
内臓、四肢、骨節、皮毛、筋肉、血脈などで
構成されていると考えます。
そのうち内臓には五臓六腑があります。
五臓とは心、肝、脾、肺、腎で、
六腑とは三焦、胆、胃、大腸、小腸、膀胱です。
五臓六腑の働きについては
臓腑学説という中医学理論もあります。
ところで、ここでとくに強調して紹介しておきたいのは、
中国の伝統的な臓腑の概念は
西洋医学的な臓腑の概念とは別のものである点です。
中国伝統(中医学)の臓腑とは、
ある部分の機能を発揮するシステムであり、
西洋医学の臓腑とは
解剖学的に直接観ることができる器官です。
ですから、西洋医学では
臓腑を心臓、肝臓、脾臓、すい臓、腎臓、肺臓などと
呼んでいます。
こうした概念の違いにより、
中医学的な五臓六腑の働きが
精気神を調整すると考えられているのです。
また、臓と腑は更に分かれて別々の働きをします。
その違いを大まかに説明しますと、
臓は人体外から摂取した精気
(主に飲食で吸収した栄養物質のようなもの)を
体内に貯蔵したり配分したりする働きをします。
腑は、飲食物を精になるものと
廃棄するものとに整理分類してから
吸収したり排出したりする働きをします。
先天的な元精から体の構造が形成されてきて、
元気元神により各構造の基本的な動きができます。
さらに五臓六腑の働きにより
後天的な水穀の精気を吸収して
生長発育、新陳代謝などの生命活動を続けられるのです。
また、五臓六腑の働きは後天の欲神識神の状態に影響を与えます。
このように、精気神と五臓六腑は
互いに促進と影響の関係にありますので、
精気神の調整をはかる養生の内容とは、
具体的には五臓六腑を整えることが中心になると思います。
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