| 第468回自然に元高でも06年末までにまた2%切り上げと同じ
 以前お話したように、人民元の対米ドルレートが
 1ドル8.07元台に突入しました。
 警戒ラインと思われていた8.08元を切っても、
 中国当局が大きな市場介入の動きを
 見せるようなことはありませんでした。
 むしろ、元取引に
 マーケットメーカー制の導入を急いだり、
 国際収支の詳細報告を
 定期的に発表していく方針を固めたり、
 人民元取引の自由化に向けた
 環境整備への取り組みが目立ちます。
 色々な人に話を聞く機会がありますが、日本の証券会社のアナリストの方は、
 再度の人民元切り上げのようなサプライズはなく、
 中国当局としては、
 徐々に市場での介入を少なくしていって、
 自然に元高を実現する方向に
 向かっているのではないかとの意見が
 多数を占めています。
 以前も指摘したことですが、7月21日の切り上げ以降、
 4カ月以上経っても、
 わずかに0.4%の人民元高になったにすぎませんが、
 こうした地道な積み重ねも
 馬鹿にできるものではありません。
 今のペースでいけば、
 最短で05年中にも8.06元台もみえてきます。
 また、今のペースでいっても、
 06年末までには7.95元になりますし、
 このまま推移すれば、現地アナリストは、
 7.8元程度の水準にまで元高が進むとみています。
 仮に06年末に7.95元となれば、
 7月21日の再設定レートと比べて約2%元高、
 つまりまた2%切り上げしたのと
 同じことになります。
 中国の現地メディアでは、11月のブッシュ大統領の訪中以降、
 米中友好を謳う論調が目立ちます。
 外交面で対立を深める親米筆頭の日本を
 けん制する意味もあるのかもしれませんが、
 米中間の友好を強調することで、
 遠まわしに切り上げ圧力を
 和らげているとも受け取れます。
 事実、大統領訪中以降、
 米国側からも強い圧力はあまり感じられません。
 市場を整備し、自然に元高を進めていく環境を整えるのに、
 今は絶好の機会かもしれません。
 銀行の人民元対米ドル現金買いレートは
 7元台に突入しています。
 徐々に徐々に、
 再度予想される強い圧力をかわすための準備を
 進めているようにも感じられます。
 06年には、銀行業が対外開放されるなど、大きな動きがありますので、
 人民元レートもどうなるか分かりませんが、
 もし安定した元高が実現すれば、
 中国株取引にとって、トータルとして
 大きなメリットになることになります。
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