第457回
難航する鉄道事業の資金調達計画、各地方の権益対立
中国の鉄道事業が上場を予定しているのは、
中鉄集装箱運輸有限公司
(中国鉄道コンテナ運輸)、
中鉄行包快遞有限責任公司
(中国鉄道手荷物エクスプレス)、
中鉄特種貨物運輸有限責任公司の3社と
石炭生産の一大拠点である山西省・大同市と、
中国北方の海運の一大拠点である
河北省・秦皇島を結ぶ
約680キロメートルの大秦線、
山東省の青島市と済南市を結ぶ
約385キロメートルの膠済線だとされています。
04年8月に初めてそうした構想が発表された時、
具体的な計画は同年10−12月の期間中にも
発表されるのではないかともされてきましたが、
ようやく動きが見えたのは05年11月になってからで、
その時点で、2年以内の上場を目指すことが
明らかにされました。
こうした計画や見通しの発表が大幅に遅れることは、
中国において特に珍しいことではありません。
ただ、中国の鉄道事業は
「中長期鉄道網ガイドライン」で提示された
2020年までの計画を実現するために、
「鉄道建設基金」が撤廃されたこともあって、
全体としては、
様々な形での資金調達ルートの確保は
必須のはずですが、
鉄道権益自体は各地方の地元密着型であり、
それぞれの地方の思惑や利権が絡んで、
協議が難航しているのかもしれません。
大秦線は、
中国の最重要エネルギーである
石炭物流の最重要ルートであり、
石炭不足と価格高騰の中で、
その大動脈としての位置づけは
ますます重要になっています。
上場するという2年後もそうした位置付けは
あまり大きく変わっているとも思えませんので、
優良資産としての魅力は十分ですが、
石炭から石油などへのエネルギー代替が進めば、
特に成長性などで、
不透明感を増すことも考えられます。
膠済線は経済先進地域の
山東省の二大都市を結ぶ、
一地方に過ぎないとはいえ、
沿海部の大動脈の一つといえるでしょう。
2年後の上場が実現すれば、
北京五輪目前の時期であり、
この路線の周辺地域は
より活性化していることも予想されますが、
ポスト五輪の反動も
それだけ大きいことも想定されます。
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