| 第455回鉄道を本格上場、先駆者の広深鉄路の強みと弱み
 11月1日付の香港・経済通は英・フィナンシャルタイムズ
 (インターネット版)の報道を引用し、
 中国鉄道部が2年後までに
 中国大陸または海外の株式市場に
 一部鉄道網を上場させる計画であると報じています。
 中国版のJRが誕生するかどうかに注目です。
 中国では現在、原則的に鉄道は国有企業による運営が行われています。
 一部、広深鉄路(コウシンレール、0525)のように
 すでに株式を上場させている企業もありますが、
 まだまだ例外です。
 広深鉄路は広州市と深セン市をつなぐ鉄道を中心に
 事業展開しており、
 北京−深センや広州−香港などの路線事業にも参画、
 基本的には優良企業です。
 中国の鉄道事業は、以前の国鉄と同様、基本的には慢性的な赤字であり、
 全体としてみた場合、
 非常に経営状態が悪いのが特徴です。
 今後の鉄道網の発展を促すための資金調達のために、
 今後既存企業や優良な路線を分社化して
 上場させていくことが今回発表されましたが、
 すでに上場を実現している広深鉄路は
 そのケーススタディ的な意味合いも強いといえます。
 96年の時点で上場していますので、
 当然、中国鉄道事業の中でも優良資産となります。
 しかし、前回まで説明した鳥インフルエンザなどの影響を
 もろにかぶりやすい業態であるともいえます。
 鳥インフルエンザが猛威を振るい、
 流通や物流に支障をきたすようになれば、
 当然、事業にも影響を与えることになります。
 事実、03年に中国南部を中心に席巻した
 新型肺炎SARSの影響で、
 03年は減益となりました。
 また、広州−香港の路線は、香港のディズニーランド開園や、
 中国人による香港旅行の活性化で、
 かなり将来性があると思われてきた事業ですが、
 香港ディズニーランドが開園当初、
 思うように香港経済に貢献できなかったこと、
 中国人による一時ブームとなった香港旅行が、
 欧米など他の海外旅行の価格が安くなっていく中で、
 魅力的なものでなくなってきたことなど、
 不安材料も出てくるようになっています。
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