第446回
今後の中国は「和諧(調和の取れた)」がポイント
第11次5カ年規画(2006年−2010年)の
骨子となる中国共産党の
第16期中央委員会第5回全体会議
(16期5中全会)のコミュニケでは、
その内容の中核として、
六つの「しなければならない」事項があることは
前回ご紹介したとおりです。
その中で5点目、
「調和が取れた社会建設を
強化しなければならない」は
ある意味で
今回の5カ年ガイドラインの新機軸といえます。
原文では、「必須加強和諧社会建設」。
この中の「和諧(調和の取れた)」が
ポイントになります。
今回のコミュニケでは、
この「和諧」という言葉がよく出てきます。
日本でも中国でも、今回のコミュニケの報道は、
1人あたりGDPの目標設定や
エネルギー消費効率の数値規定を定めたことに
焦点を当てていますが、
「和諧」という言葉が今までの5カ年計画では
あまり見かけられなかったことを考えれば、
今回のコミュニケの最も重要なのは
この「和諧」の多用であるとも言えます。
では、
「調和が取れた社会建設を
強化しなければならない」とは
どういうことかといえば、
詳細はまた改めて紹介することになると思いますが、
政治的な腐敗(汚職)の横行や治安の悪化、
あるいは貧富格差の拡大に伴う暴動など、
現在噴出している様々な社会矛盾を
合理的に解決していこう、
ということだと思われます。
マクロ経済や産業、人民生活を
物理的にいかに豊かにするかが
中心に描かれていた
従来の5カ年計画と比べ、
ガイドラインと名を改めた初回となる
第11次5カ年規画では、
「人」をめぐるハード的、
ソフト的な生活全般の充実を
トータル的に謳っているところに、
大きな違いがあるといえます。
もしかするとこの点が、
「5カ年計画」から「5カ年規画」に変えた
大きな要素となっているかもしれません。
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