第445回
六つの「しなければならない」事項を読み解く
中国共産党の
第16期中央委員会第5回全体会議
(16期5中全会)が閉幕して発表された
コミュニケでは、
第11次5カ年規画(2006年−2010年)の
骨子となるような部分が盛り込まれていますが、
全文を読み解く上で、
まずその中核となるのが
六つの「しなければならない」事項です。
中核というのは、それが非常に抽象的で、
幅広い意味を持っているという意味でもあります。
1.経済の安定した
かつ比較的速い発展を維持しなければならない
2.経済成長の方式の転換を加速しなければならない
3.自主的な創造・刷新能力を向上させなければならない
4.都市部と農村部の協調的な発展を促進しなければならない
5.調和が取れた社会建設を強化しなければならない
6.改革開放を断続的に深化させていかなければならない
今までの5カ年計画と違って、
いくつかの相違点があります。
逆に今までと同じ、
つまり継承していく路線としては、
上記の「1」「6」があります。
以前までの5カ年計画の読みようにもよりますが、
「4」も既定方針といえなくもありません。
まず注目したいのは「2」です。
今回の5カ年ガイドラインでほとんど初めて、
経済成長の質的な話題を定義することになります。
いくら急成長してみても、
問題を先送りにするような、
しかも先送りにして
問題が深刻化するような成長方法では、
今後はだめだ、
という意志の現われと受け取れるでしょう。
中国の経済成長において、
「大規模であること」は大事なことであり、
魅力的なことではありますが、
それ以上に質の高い成長方式への転換が
急務との当局の認識を示すものです。
「3」については、独自の知的財産権戦略、
ブランド戦略とも絡んでいるものと思われます。
「メイドインチャイナ」は安かろう悪かろうで
世界的にもイメージが
ついてしまっている感がありますが、
そうではなくて、
今後は中国独自の技術力を駆使した
質の高い企業及び商品・サービス作りが
求められるということに対応した方針といえます。
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