| 第438回堅調の都市部所得の伸び、急成長する農村部収入
 所得や収入の伸びはやはり重要です。2005年1−9月の統計データでは、
 都市部の1人あたり可処分所得が7902元となり、
 前年同期と比べて実質9.8%増、
 農村部の1人あたり現金収入は2450元となり、
 同じく11.5%成長となっています。
 05年1−6月のそれぞれの伸び率は
 9.5%と12.5%でしたから、
 都市部では伸び率がアップ、
 農村部ではダウンしていることになります。
 年初からその都市の前半まで、
 農村部の成長率が都市部を上回るものの、
 通年でみてみると、
 都市部の成長率が
 農村部を上回るという傾向は04年と同じです。
 04年通年では、結局都市部が7.7%、
 農村部が6.8%の成長となっています。
 都市部の所得が向上するのは、都市部における消費能力の向上につながり、
 付加価値サービスの展開を計算しやすくなります。
 一番いい例が、移動体通信などにおける
 モバイルによるネットアクセスや、
 第3世代(3G)携帯電話の
 爆発的な普及などが考えられ、
 また単純に、消費が活性化することを考えれば、
 小売業界の成長も見えてきます。
 農村部の収入成長について、これは中国が現在抱える
 最も大きな爆弾に関わってきますので、
 中国や中国株を考える上では
 やはり見逃せません。
 各地で起きているという暴動も、
 いろいろな要素がありながらも、
 都市部と農村部、都市部間、
 農村部間、地域間などの
 所得格差に起因している場合が
 ほとんどとされています。
 これを極度に深刻に唱えて、中国が根本から崩壊するとの議論は、
 日本では比較的盛んです。
 ただし、所得と収入の違いはありますが、
 データ上では、都市部よりも農村部が
 速い成長を遂げています。
 さらに大事なことに、農村部の収入の伸びは、2003年まで、
 GDP(国内総生産)成長を大きく下回る
 (半分程度の)程度に過ぎず、
 2001年から2003年までは
 いずれも4%程度の伸びでしかありませんでした。
 それが、04年こそ
 最終的に7%弱にとどまりましたが
 (それでもそれ以前の3年の成長速度と比べると
 急激といえるスピードになります)、
 05年に入って、
 今後減速することが考えられるとはいえ、
 かなり高い成長を農村部の収入は実現しています。
 収入額自体まだまだ小さく、都市部との格差は大きなものがありますが、
 農村部の収入は、以前に比べて
 急速に成長を遂げていることは
 確認しておくべきです。
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