| 第437回輸出入アンバランスは是正できるかは疑問
 2005年1−9月の統計データで、国家統計局が指摘した問題点は、
 前回お話した固定資産投資額が、
 政策的に抑える方向で動いているにもかかわらず、
 実際は増加していることのほか、
 貿易状況も挙げています。
 貿易統計は、税関の管轄となりますので、国家統計局が05年1−9月の状況を
 10月20日に発表する以前には
 発表されていました。
 同期間の貿易黒字は683億ドル。
 これはすでに前年通年の倍以上の規模です。
 05年10−12月で
 極度な貿易赤字となることも考えられないため、
 もしかすると05年通年では、
 さらに高い水準になることが想定されます。
 米国との貿易摩擦、さらには人民元の切り上げ圧力の高まりは
 避けられそうもありませんが、
 どうしてこのような
 大規模な貿易黒字になったかといえば、
 単純に輸出が急成長した割りに、
 輸入の成長がそれに
 追いついていないことも挙げられます。
 04年通年、中国の貿易額は前年比35.7%増となって
 1兆ドルを超えました。
 そのうち、輸出が35.4%増、輸入が36.0%増と、
 むしろ輸入の方が速い成長を遂げていました。
 これが、05年1−9月では、
 輸出の成長が31.3%に対して、
 輸入はわずかに16.0%です。
 かなり大きなアンバランスが生じています。
 05年1−6月の輸入成長は14.0%だったので、
 それに比べれば
 若干回復したともいえますが、
 成長率ベースで輸出と輸入では
 倍の格差が広がっていることになります。
 輸入成長の伸び悩みは以前も触れましたが、
 貿易黒字の増大、人民元切り上げとも絡んで、
 企業業績とも何らかの関係、
 あるいは影響が出てくるものと見られます。
 国家統計局は、こうした「貿易のアンバランスの是正が必要だ」
 との見解を示しました。
 商務部などではすでに動いていると思いますが、
 中国の貿易摩擦は米国ばかりでなく、
 世界中に広がる感を見せており、
 そうした意味で、構造的な問題であって、
 容易に解決しないことも考えられます。
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