| 第436回抑えているのに伸びる投資、一部業界に政策的影響も
 2005年1−9月の統計データを見てみると、最も際立って見えるのは、
 固定資産投資額の増加率です。
 前年同期より1.6ポイント低減したとはいえ、
 依然26.1%に達しており、
 これは、05年1−6月の固定資産投資額の伸びと比べて
 0.7ポイントほど高くなっています。
 中国政府は04年から投資過熱抑制策を本格化しています。
 一部業界では、投資があまりにも過熱し、
 投資額が前年と比べて
 3ケタ成長を遂げるなどもみられたため、
 今後その投資が順調に回収できるのかどうか、
 重複建設になっていないか、
 生産過剰に陥る可能性はないか
 (実際一部で生産過剰傾向が見られています)
 などを総点検し、
 銀行の貸付額をコントロールするなどで、
 引き締め策を講じることになったのです。
 私自身、04年に実施されたこの政策の効果は05年以降に顕在化するものと考えていましたので、
 05年1−9月で固定資産投資の伸び率が、
 1−6月を上回る水準になるとは若干予想外です。
 国家統計局でも、
 固定資産投資の伸びに
 警戒感を示すコメントを発しています。
 それと比べ、消費分野は好調なようです。社会消費財小売総額は、
 前年同期と比べ実質12.1%増を記録、
 これは前年同期と比べて2.4ポイント高く、
 1−6月と比べて0.1ポイント高い数字です。
 大型連休「十一」での小売も
 好調だったというニュースを聞いており、
 05年通年で見てみると、
 消費分野では前年を上回る成長が
 期待できることになりそうです。
 以前から指摘しているように、投資と消費のアンバランスが
 中国には存在しています。
 これはすぐに改善されるものではなく、
 現状の中国を考えれば
 むしろ当然なのですが、
 消費が伸びてきていることは
 喜ばしいこととはいえ、
 投資も抑えているはずなのに
 むしろ伸びているのは、
 政策執行中のたがのゆるみなどを
 原因に求めることになるかもしれません。
 そうなれば、
 当局による締め付けが厳しくなることで、
 特に要注意業界とされている一部業界を中心に、
 経済的にも規制強化の影響を
 受けることも想定されます。
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