| 第435回統計データを読み解く、GDPにサプライズは当面ない
 2005年10月20日、国家統計局は05年1−9月の統計データを発表しました。
 GDP(国内総生産)は前年同期比9.4%の成長。
 同年1−6月と比べると
 0.1ポイント低い水準となります。
 ただし、国家統計局でも
 「安定成長を見せている」と評価していますし、
 若干の成長減速はあまり意味がないようです。
 10%を超えたとか、逆に7%を切ったとかは別として、
 中国経済を短期的にみるのであれば、
 すでにGDP成長率は
 重要な要素とはなりえないと思います。
 何もなければ今後数年、
 7〜10%の成長は間違いなく、
 その間で変動するのであれば、
 すべてが想定の範囲内といえると思います。
 サプライズはありそうもありません。
 今後数年、GDP成長をみるのであれば、三次産業ごとの成長率を
 確認するといいかもしれません。
 05年1−9月では、
 農業・牧畜業・林業・水産業・狩猟業で構成される
 第1次産業の成長率は5.0%、
 製造業を中心とする第2次産業は11.1%、
 サービス業を中心とする第3次産業は8.1%です。
 この割合は05年1−6月では、
 それぞれ5.0%、11.2%、7.8%となっています。
 今後、第1次産業が急速に伸びることは考えられませんので、
 第2次産業と第3次産業の成長率に
 注目が集まります。
 2003年通年(GDP全体で9.1%成長)では、
 第2次産業が12.5%成長に対して、
 第3次産業は6.7%程度の成長に過ぎませんでした。
 それから考えれば、
 05年になってからの数字というのは、
 両者の格差がだいぶ縮まってきたともいえます。
 第3次産業の成長率がGDP全体の成長率を下回っているように、
 現在の中国のGDPをけん引しているのは
 間違いなく第2次産業です。
 個人消費が活躍するような経済構造を
 成熟したものととらえるならば、
 やはり第3次産業の成長率が
 高まることが期待されます。
 当面、第3次産業が第2次産業を上回る成長率を記録することは
 なかなか予想できませんが、
 GDP全体の成長率を
 上回るなどの動きが出てくれば
 面白いかもしれません。
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