| 第421回大規模化を目指す時代から質的改善を求める時代に
 第415回の「1人あたり収入比較:中国移動 VS NTTドコモ」で、
 加入件数の増大が
 そのまま利益には跳ね返らないのではないかと
 指摘したことについて、
 前回までにご紹介させていただいた
 読者の方からは趣旨
 次のようなご意見を頂きました。
 > 顧客が増えると規模の経済で> 仕入れ・管理コスト単価も下がってきて
 > 収益性が上がってくるのでは?
 > と考えるのは楽天的過ぎますでしょうか。
 おっしゃるとおり、加入件数は、原則的に増えるに越したことはなく、
 増えた分だけ、収益に跳ね上がっていくことも
 十分に想定できます。
 ただし、中国移動の直近の業績を見ていくと、やはり楽観視はできないように思われます。
 2004年の最終利益の伸び率は18%強となり、
 03年には9%にとどまったのと比べ、
 大きな増益となりました。
 このことに対して、
 市場からも高い評価が与えられましたし、
 実際として、企業努力の賜物といえるでしょう。
 しかし、売上高純利益率を見てみると、02年の25%強をピークに年々下降しており、
 9%増益にとどまった03年は
 22%を越えましたが、
 18%増益を果たした04年には
 21%台に落ち込みました。
 早晩、20%を切ることは十分に予想できます。
 図体が大きくなれば、当然、それだけ効率が悪くなるのは
 ある意味やむをえないことです。
 だからこそ、より規模を追求して、
 効率悪化を防ぐ、というのも
 方法の一つではあると思います。
 しかし、これを中国経済にあてはめてみると、今後の経済成長について、
 政府ではすでに03年ぐらいから
 やみ雲に大規模化を目指すのではなく、
 質的な向上を図るべきとの見解を示し、
 現実的には05年になった今でも
 9%を超える経済成長を遂げていますが、
 これを7%程度に落とし込んでも、
 質的改善の方向には進んでいます。
 中国移動の件とは単純に比較できませんが、こうした考えに一理あると思いますし、
 今後の中国は全体として、
 規模の拡大よりは質的追求という方向に
 進むのではないかとみています。
 中国の魅力は何といっても市場規模であることは疑いないですが、
 今後は中身も同時に求められるはずです。
 でなければ、より高度な経済成長は望めません。
 携帯会社としては、
 第3世代(3G)携帯電話サービスの解禁を前に、
 中身の刷新と改善はやはり急務のように思われます。
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