第417回
工業企業の業績:中国マクロ及びミクロ経済の指針
中国国家統計局が、
一定規模以上の工業企業
(国有企業と年間売上高が
500万元以上の非国有企業)の
2005年1−8月における業績を発表しました。
販売収入について、8月までに、
前年同期比27.7%増の15兆元、
赤字を差し引いた利益総額は
前年同期比20.7%増となる
8643億元となっています。
この工業企業の業績は、
中国の工業全体の動向を探る上で、
非常に重要な指標とされており、
マクロ経済はもちろん、
企業各社のミクロ経済を全般的に見渡す上では、
判断材料として重視すべきものとなっています。
「中国の企業業績が悪化」と、
一時期日本のメディアなどでも報じられましたが、
それもこの工業企業の業績をもとにしています。
業績悪化の要因とされたのが、赤字額の増大です。
05年1−8月、工業企業の中でも
赤字企業の赤字額の累計は、
前年同期比53.1%増となる1373億元となりました。
業績悪化と騒がれたのは、
この指標の1−6月時点のデータで、
その時の赤字額の前年同期と比べた時の伸び率は
60%近くにまで達していました。
1−2月から1−8月までの7回分の指標
(特に前年同月と比べた時の伸び率)を見てみると、
次の点を指摘できます。
1.総じて、伸び率の大きさは、
利益総額<販売収入<赤字額となっていること
2.赤字額の伸び率は、
今年年初から1−6月をピークとして、
一貫して、急激な右肩上がりになっていること
3.販売収入の伸び率は、
年初から1−8月まで、
それほど大きな変化はなく、
狭い範囲内で推移していること
4.利益総額の伸び率は、
販売収入ほどではないにせよ、
赤字額の伸び率と比べると、
やはり狭い範囲内で推移しているが、
1−5月に15.1%を記録して
底を打った形になっていること
−工業企業の販売収入、利益総額、赤字額の伸び率推移(2005年、1−8月まで)− |
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