| 第416回1人あたり収入低下抑制に自信示す中国移動
 中国移動(香港)有限公司(チャイナモバイル、0941)の
 王建宙・董事長は05年5月、
 ARPU(1契約当たり月間平均収入)の低下について
 見解を発表しています。
 ARPU低下の現状について、
 同社としてはコスト調整を綿密に行っているので、
 05年に入ってからも
 月間300万件以上の新規加入が続いている中で、
 それらの粗利益率は
 満足できる水準を維持している、
 と述べています。
 また、無線データ通信事業でも予測を上回る業績を上げており、
 SMS(ショート・メッセージ・サービス)や
 MMS(マルチメディア・メッセージ・サービス)、
 着信メロディのダウンロードなど
 各種コンテンツの充実を図ることで、
 ARPUの低迷を抑えることは
 十分に可能であると説明しています。
 前回までに紹介したARPUの急速な低下が、今後の中国移動の業績の不安となる指摘が
 杞憂になればよいのですが。
 ここ数年、消費者物価指数(CPI)や商品小売販売価格指数では、
 IT関連項目の指標は
 いずれもマイナスを示しており、
 04年、CPIが高水準となって
 インフレ懸念が広がった時においても、
 IT関連の項目のみは
 −1%〜−3%程度の水準で
 推移するといった具合です。
 商品小売販売価格指数の方は、より顕著なマイナスを示しています。
 毎月の指標は前年同月比
 −7%〜−10%の間で変動しています。
 単純にIT関連の商品やサービスの小売価格が
 年間7%〜10%低下しているともいえます。
 これは明らかに、通信に関する商品やサービスの物価、
 あるいは販売価格といったものが、
 低迷していることを意味します。
 この傾向が、
 今後急速に回復する見込みは少なそうです。
 業界にとっては、単純に、
 商品やサービスの価格が上向かなければ、
 利益の確保にとって
 厳しい状況になるといえます。
 それでも私個人、中国の通信業界の前途は明るいと考えています。
 その根拠はやはり莫大な市場のキャパシティです。
 そうした意味で、中国移動も長期的に見ると、
 当然のことながら有望銘柄です。
 そのためにも、新規加入件数に一喜一憂するよりは、
 やはりARPUの過剰な低下を防ぐ方法に
 もっと熱心になるべきであり、
 こうした状況だと、
 たとえ第3世代携帯電話(3G)が始まったとしても
 高収益サービスを展開、持続することが
 難しいことも考えられます。
 ARPUの低下を今の半分ほどにでも抑えられれば、
 中国移動の業績や営業構造も
 かなり変革されたということができるでしょう。
 
           
            | −消費者物価指数(CPI)と商品小売販売価格指数、それぞれのIT関連項目の推移− |   
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            | ※IT関連項目 それぞれの指数の「交通と通信」という項目。
 交通も含まれているため、通信だけの指標ではないが、
 現在の中国における家庭の消費支出状況における
 交通と通信の割合などを勘案すれば、
 通信への比重が大きく、
 ここでは便宜上、この項目をIT関連項目とした。
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