| 第406回中国の薄型テレビ:人気あっても業績伸びない?
 2005年上半期(1−6月)、北京、上海、広州などの大都市で、
 フラット(薄型)テレビが販売額で
 CRT(ブラウン管)テレビを
 上回ったことが報告されています。
 中国の家電といえば、
 海爾(ハイアール)や
 海信(ハイセンス)などが思い浮かびます。
 フラットテレビでは、そのほかに、
 長虹(チャンホン)、TCLなども有名ですが、
 現在のところ海信がシェアトップのようです。
 A株上場の海信(600060)は
 05年1−6月中間期決算で
 100%増益を達成しています。
 フラットテレビなら日本企業にも一日の長があります。
 この分野で中国でも代表的なのが、
 松下電器、日立、シャープ、ソニー。
 外資という括りで見ると、韓国企業のサムスンとLG、
 そしてこの分野で
 冠捷科技(TPVテクノロジー、0903)との
 事業統合を果たしたフィリップスも含まれます。
 これら主要中国国内企業と主要外資の中国市場におけるシェアは
 2004年時点で、販売台数においては、
 大雑把に中国国内企業が8に対して、
 主要外資が2、販売額では中国国内企業が6、
 主要外資が4とされています。
 単純にこの数字を見ても、
 低価格戦略を徹底することで、
 販売台数シェアこそ中国国内企業が優位ですが、
 販売額は、それと比べれば
 明らかに中国国内企業のシェアが
 侵食されているという構造になります。
 テレビのブランドとして、中国でも長年親しまれているものの一つに「KONKA」、
 つまり康佳集団(コンカグループ、200016)があります。
 技術的には外資に強みがあるこの分野でも、
 中国生活者の国産に対する思い入れの強さは
 他の消費財と同様。
 その中でも、テレビにおける「KONKA」は、シェアでは長虹やTCL、
 フラット分野では海信に適わないはずなのに、
 それに対する消費者の愛着は
 想像を絶するほど強いものがあります。
 康佳集団もこのご時世、当然フラットテレビには力を入れており、
 販売状況も悪くはないとされていますが、
 テレビ以外の主力事業である
 携帯電話端末などの影響もあって、
 業績としては、05年1−6月中間期決算で
 大幅な減益となっています。
 低価格戦略すべてが悪いとはいえません。ただし、その前提としては
 消費者の購買能力と同歩調を取る必要があります。
 販売額、つまり売上は
 原則的には価格×台数の掛け算。
 価格を下げるのであれば、
 台数を上げなければ
 つじつまが合わないのが理屈になります。
 主要中国国内企業と主要外資の販売台数と
 販売額のシェアを見てみると、
 これが理想どおりに進んでいないのは一目瞭然で、
 康佳集団の苦戦は
 そんな業界構造の反映かもしれません。
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