| 第405回海外大手と事業統合の冠捷科技と赤字に苦しむ京東方
 売れ筋のフラット(薄型)テレビが1万元前後までに下がってきたとはいえ、
 例えば、上海の新卒初任給が
 大雑把に平均して2000元
 (非外資。例えば国内トップクラスの
 聯想(レノボ)でも初任給は5500元程度)
 とされる中で、
 「万」元という価格はまだまだ高いと感じられます。
 家電量販店でも、銀行と提携して、
 フラットテレビの分割払い制度を積極的に進め、
 600元程度から購入できるようにするなど、
 販売促進に様々な手段を講じています。
 フラットテレビも含めて、関連のディスプレイという大枠で見てみると、
 中国株にも関連銘柄がいくつか見られます。
 ディスプレイの代表格といえば、
 冠捷科技(TPVテクノロジー、0903)。
 台湾系で、主にパソコン用ディスプレイに
 強みを持っていますが、
 オランダのフィリップス社との
 ディスプレイ及びフラットテレビ事業の統合を
 2005年9月になって完了しています。
 日本ではあまりぴんと来ないかもしれませんが、テレビ関連のブランドとしての
 「フィリップス」は
 中国において絶大な人気を博しています。
 このブランド力を手に入れられた冠捷科技は、
 今後ローエンド薄型テレビの生産に
 力を入れていくようです。
 05年1−6月中間期決算こそ
 わずかな増益となったに過ぎませんが、
 今後に注目したいところです。
 冠捷科技の株主で、親会社に当たるのが現在B株を発行している
 京東方科技(トウホウテクノロジー、200725)です。
 もともとはブラウン管で有名な会社でしたが、
 今ではTFT-LCD
 (薄膜トランジスタ液晶ディスプレイ)において、
 中国で第一人者としての地位を
 確立するまでになっています。
 京東方科技では、H株の発行計画が着々に進んでおり、
 B株企業による初の
 H株発行(乗り換え)企業にもなる可能性がありますが、
 05年1−6月中間期決算では
 10億元近い大幅な赤字を計上しています。
 05年中には黒字転換を実現できると強気の姿勢を崩してはいませんが、
 収益構造の課題は
 04年ごろから顕在化したものであり、
 05年になって突然表れたものではありません。
 ディスプレイ分野そのものは将来性ありますが、
 企業としての体質にも関わる問題であり、
 これをクリアする必要があるでしょう。
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