第371回
追加切り上げよりもじっくり腰を落ち着けた改革へ

「テストケース」としての
2%の人民元切り上げ。
この程度の切り上げ率では当然のことながら
実質的な影響は出ないものと思われます。
人民元の改革自体は、
中国当局も乗り気ですので
(持続的な経済成長を続けていくためにも
 必要なことですので)、
今回の元切り上げは、一つには、
その改革の端緒であって、
もう一つには、
圧力を強める米国に対するパフォーマンスである、
と考えられます。

2%という切り上げ率に不満な米国は、
今後も中国に対する圧力を
強めていくことが予想されますが、
一度切り上げに踏み切った実績を盾に、
中国の米国に対する発言力は
いくらか高まることが予想されます。

今回の切り上げにしても、
中国のインターネット上の掲示板などでは、
「米国に屈した」との意見も少なからず見られます。
多くの識者は、今回の切り上げは、
次回以降の追加切り上げへの布石
と見る向きがあります。
そうした考えは、
全く間違いとはいえないにせよ、
今後もどんどん切り上げるかといえば、
国内事情としては、あくまでも
「自主的に改革を行う」という姿勢を示さなければ、
国民の反感を助長させてしまうので、
個人的には、すぐに追加切り上げ、というよりは、
米国の圧力を巧みにかわしつつ、
国内事情に鑑みながら、
時期を見据えて行っていくのではないか、
と考えています。

そういう意味で、
中国政府は今回の切り上げによって、
今後の改革に対して、
ある意味で腰を落ち着けてやっていく、
あるいはやらなければならなくなった、
ということができると思います。

とにかく、
今回の人民元切り上げは
いろいろな意味での象徴的なものであり、
今後も中国の国内事情、
米国との経済貿易摩擦などを
主軸に据えながらの周辺状況は
目が離せません。

当ページは、投資勧誘を目的として作成されたものではありません。
あくまで情報提供を目的としたものであり、一部主観及び意見が含まれている場合もあります。
個別銘柄にかかる最終的な投資判断は、ご自身の判断でなさるようお願いいたします。

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2005年7月27日(水)

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