| 第370回元切り上げ:2%は低すぎるが、テストケース
 人民元の切り上げが行われました。これについては、
 日本でも大騒ぎとなりましたし、
 それだけにいろいろな見方がなされています。
 個人的には、時期として、
 今年8月が有力視されていましたし、
 9月の胡錦涛・主席の訪米の手土産的なものとして
 行われると思っていましたので、
 やはり意外でした。
 このタイミングでの元切り上げを予測できた人は
 なかなかいなかったのではないでしょうか?
 ただし、その日までに、つまり21日の終値で
 H株指数が5000ポイントを回復、
 H株指数がそれまでに、
 この週4日連続上げていたことは、
 ある意味ではシグナルだったのかもしれません。
 シグナルといえば、
 前回までにご紹介させていただいた
 上海B株の15日から18日にかけての急落も、
 今から考えればそういうことだったのか、
 とも考えられます。
 2%という切り上げ率に対しては、日本では大筋で
 「低すぎる」との意見が多いようです。
 これについては、
 個人的には「こんなものだろう」と思います。
 事前にも、
 まずは1‐2%程度の切り上げ率から始めるのでは、
 とは思っていましたが、
 それは、中国は何事にも「テスト」が好きで、
 何か大きなことを始める際には、
 まずテストケースを設定するという手法を取ります。
 今回もそうした背景があったのだと理解しています。
 早急に20%程度の切り上げが行われていたならば、中国経済に根本的に影響してしまいます。
 個人的には、
 現時点においても5%程度であれば、
 中国経済のキャパシティとして
 十分受け入れられるとも思いますが、
 2%では多くの識者が指摘するように、
 世界経済や中国の経済及び
 社会に実質的な影響は出ないものと思われます。
 ただし、心理的な影響はこれとは別で、翌22日は中国本土も香港も
 各市場とも上げていることから考えて、
 市場の多くが、
 今回の切り上げに好感していることがうかがえます。
 ただし、追々説明していきますが、
 今回の人民元切り上げの相場に与える影響は、
 やはり一過性のものと考えられます。
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