| 第365回CNOOC投資判断を各社引き上げの背景は?
 中国海洋石油有限公司(CNOOC、0883)によるユノカル社買収は、
 聯想(レノボ、0992)によるIBMのPC事業買収や
 その他の、現在盛んになっている
 中国企業による海外大手企業及び
 その一部の買収とは一線を画すものかもしれません。
 むしろ、それは政策的な判断が濃厚です。
 そうした中でも、CNOOCに対しては、
 「買い」や投資判断引き上げが続いています。
 例えば、マッコーリー証券は投資判断を「アウトパフォーム」に据え置き、
 また目標株価を6.1香港ドルから
 6.4香港ドルに引き上げています。
 同証券は、
 米国産ウエスト・テキサス・インターミディエート
 (WTI)価格が上昇するだろうと予測。
 今後2年間の1バレル当たりの価格は、
 2005年が47.4ドル、
 06年が42.8ドルとなる見込みを発表しています。
 これにともない、
 同社の利益予測も上方修正されています。
 クレディ・スイス・ファースト・ボストン証券(CSFB)は、
 目標株価を5香港ドルから
 5.15香港ドルに引き上げています。
 同証券は、中国本土でガソリン価格および
 ディーゼルオイル価格を
 5%引き上げることがなければ、
 原油価格高騰が
 中国石油化工の製油事業の粗利益に
 影響をもたらすことはないだろうと指摘。
 2006年は原油価格は下落すると予想しているが、
 再度の上昇もあり得るとしています。
 また、今回の買収が
 2006年のEPS(1株あたり利益)を
 15%引き上げると予測しています。
 投資判断を「ニュートラル」から
 「アウトパフォーム」に引き上げました。
 6月下旬時点で、シティグループ・スミス・バーニーは、
 投資判断を「買い」に据え置き、
 目標株価を5香港ドルに設定しています。
 同証券では、今回の買収がうまくいけば、
 ユノカル社による同社への利益貢献は
 早まるだろうとしています。
 また同じくUBS証券は、
 買収そのものは高く評価していませんが、
 投資判断を「買い」としています。
 現状の中国企業の構造から言えば、政策とリンクした企業の強みは疑いありません。
 06年原油価格の下落も予想される中で、
 各機関投資家も強気のコメントをしている背景には、
 「国策企業」としての
 確固とした地位に対する評価も
 多かれ少なかれ存在していると思われます。
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