第349回
HSBCのレーティングに異変も統計上のトリック
香港の業績レーティングについて、
紹介してきましたが、
今回一応最後とします。
最後に、A評価だった銘柄が
B評価に「格下げ」になった銘柄です。
今回、香港メインボード上場銘柄482銘柄、
GEM上場銘柄62銘柄、合計544銘柄
(うち2銘柄は算出不能なため、実質的に542銘柄)の
レーティングを行いましたが、
前回のレーティングと
比較可能な銘柄数は210銘柄ほどです。
その中で、A評価からB評価になった銘柄は一つだけ、
実はHSBC(0005)です。
ロンドンに拠点を置く
総合金融グループの持ち株会社で、
香港上場企業中、最大規模を誇る企業の一つです。
時価総額もその分巨大で、
香港市場を動かす最重要ファクターとして、
このHSBCは存在しています。
HSBCの株価が動けば、相場も動く、
といっても過言ではなく、
少なくとも、ハンセン指数の値動きとは
非常に密接な関係にある銘柄です。
今回、レーティングで評価が下がったのは、
正直言って、原因がつかめません。
というのも、
特に業績が悪化したということもなく、
むしろ2004年は急成長を果たしています。
542銘柄のすべての業績をシステムに組み込んで、
計算してみたら、評価が下がった、
というのが実態です。
そのため、この「格下げ」は
むしろ統計上の問題なのかもしれません。
ただし、
すでに巨大金融グループであるにもかかわらず、
ここ数年急成長を果たしてきており、
特に04年の業績は、
香港の経済回復の影響が大きかったともされ、
2005年には若干成長が鈍化、
あるいはマイナス成長になる可能性も
一部では指摘されています。
しかし、基本的には
この業績レーティングは
過去の実績が中心になりますので、
こうした一部観測は
ほとんど反映されていませんので、
HSBCがA評価からB評価になったは、
あくまでもデータ上のトリックだと
解釈できそうです。
|