第328回
国有行IPO一番手、交通銀行の価値は?
中国の国有商業銀行の一つである交通銀行が
5月23日、香港証券取引所の
上場委員会のヒアリング審査を通過、
上場の認可を取得しました。
同行はH株を発行し、
132億−156億香港ドルを調達する予定です。
この大規模な資金調達に対し、
「市場の能力が試される」
と報じるメディアもあるようです。
間違いなく、今年最大の、少なくとも、
今年最注目のIPO(新規株式公開)となるでしょう。
日本の証券会社でも
引き受ける可能性もあります。
今から注目しておくのもよいでしょう。
上場日は6月20−30日になるとみられます。
日程が迫っていることから、
幹事証券らは準備を急いでいることが
伝えられています。
同行は390億株程度を公募・売り出す予定で、
このうち68億9500万株が新株の発行で、
一般投資家向けには
5%程度が振り分けられるもようです。
投資家の反応次第でこの割合は
20%まで拡大する可能性があるといいます。
現地メディアが
調達資金額から逆算したところによれば、
公募価格は1.9−2.3香港ドルになるようです。
交通銀行の上場は、中国にとって、
大型国有銀行で初めての全体上場となります。
それだけに、今後予定されている
いわゆる国有四大銀行の
全体上場の試金石にもなりますし、
その意味では、
中国の金融全般に与える影響は
限りなく大きくなります。
この原稿を書いている段階で、
交通銀行の投資価値については、
まだ不明な点が多く、断言できません。
ただし、交通銀行を含めた
五つの大型国有銀行の中では、
比較的財務体質もよく、
不良債権処理も進んでいるとされる銀行です。
また、世界最大級の金融グループであるHSBCが
同行に20%近い資本参加をしたことでも
知られています。
有名な外資系金融グループが
資本参加しているということは
安心材料にもなります。
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