第288回
乗用車販売統計の混乱とコスト削減への努力
前回、中国の2月における
乗用車販売台数及び
そのランキングを紹介しましたが、
中国では、メーカーごとに
統計方法が異なっているようです。
例えば、上海VWと一汽VWは、
中国全土の小売ベースからの
積み上げ式の販売台数を採用しています。
それ以外のメーカーは基本的に出荷台数ベースです。
日本などでは、
当然、出荷台数と販売台数は
別物として取り扱われますが、
中国ではこのあたりが混在しています。
前回紹介した際にはランキングとしましたが、
違う指標なので、
必ずしも同じように取り扱うのは
問題かもしれません。
中国のメディアでもこの違いについて、
いい加減に国際的な慣例に基づいて、
販売台数は小売ベースに
統一すべきとの論調が読み取れます。
実際には出荷台数を
販売台数として取り扱っているということに関して、
これにはいろいろな要因があると思いますが、
メーカー側が小売における
ディーラーネットワークを
完全に掌握しきっていないことが
考えられるかもしれません。
また、投資家向けなどに
通年の事業計画を発表し、
それを履行するにあたっては、
毎月ぶれの出る小売ベースよりも、
メーカーが直接管理できる出荷台数を
準拠したいというところでしょうか。
中国のメディアなどでは、
こうしたメーカー側の対応を
「(財務及び事業データなど)資料をよりよく見せるため」
と皮肉っています。
これとも関連して、
さすがに中国の各メーカーも
これではいけないということで、
自主的な動きが見られます。
販売状況が思わしくないこと、
あるいは2月はそもそもが季節的な要因などで
シーズンオフになることなどから、
ディーラーを中心とした
販売ネットワークの見直しなどが
進められたようです。
前回も指摘しましたが、
現在、中国の自動車メーカーの利益率は
下降の一途をたどっています。
以前までが世界標準と比べても高水準だった、
ということもありますが、
販売ネットワークなど流通ルートの簡素化や
人員の削減などを通じて、
コスト削減に努めています。
値下げを行う一方で、
こうした経営努力が成果として現れるのかどうか、
もう少し時間はかかりそうです。
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