第286回
理屈としては万科企業のH株上場は追い風も具体性なく
B株発行企業が
H株発行することの実現性は、
今までに事例が一つもないので、なんともいえず、
以前までは、
同じ性質のB株とH株を同時に発行するのは
無理があるかもしれないとも考えたこともありましたが、
現在の状況から考えて、
万科企業の場合、
特に無理がある計画とは思えません。
可能性としては十分にあるのではないでしょうか。
政府としても優良企業は育成したいところです。
ただし、不動産市場が過熱しているのは事実ですので、
これは抑制しなければなりません。
この抑制策で優良企業の事業が足止めを食うのは、
ある意味、本末転倒で、
こうした事態を回避するにも、
中国本土市場の早期活性化が望めない現在、
香港市場への上場を、
政府がむしろ奨励する可能性があります。
状況としては追い風です。
万科企業側は、
香港の資本市場の可能性については指摘し、
その魅力も正直に吐露していますが、
現実問題として、
香港にいつ上場するのかとなると、
具体的な予定はないと発表しています。
上記のように、理屈では、
障害はないと思われますが、
具体的な動きになると、
前例がないだけに慎重にならざるを得ないでしょう。
万科企業が
香港市場に上場したらどうなるでしょうか?
香港市場は本格的に
海外投資家からの厳しい審査にさらされます。
B株での経験があるとはいえ、
これは、万科企業にとっても
多かれ少なかれ試練になるはずです。
ただし、現在の優良体質や
堅調な業績を維持するという前提で、
現在のB株株主にとって、
万科企業のH株上場は、
全体としてマイナスになることはないと思われます。
海外投資家の目に適えば、
その企業価値はさらに上がり、
株価もそれに連動することになるはずです。
ただし、中国の不動産市場に対する見方について、
近々の不動産市場の過熱抑制策など
表面的な問題としては、
中国本土では過剰に悲観する傾向にあり、
香港を含む海外では楽観視する傾向にありますが、
将来的なバブル崩壊に対する危機感など潜在的な問題は、
当然、海外の方が根強く、
その分、万科企業も
評価してもらいづらい面も抱えています。
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