| 第258回厳しい小売事情の中でも北京物美が天津ダイエー買収
 中国商務部が発表した調査研究報告書で、中国の小売企業と外資系企業を比較した場合、
 拡張のスピード、コスト抑制、経営・販売技術、
 財政運営、ブランド価値、人材確保など
 六つの分野の能力が
 著しく劣っていることが指摘されました。
 これは以前から言われていたことですが、中国小売の競争力向上は急務となっています。
 この報告でも示されているのですが、
 中国における流通業の
 国民経済に対する貢献度は異常に低く、
 経済発展に順応していません。
 小売、卸売、飲食業のGDP(国内総生産)総量の貢献度は
 わずか8%といわれています。
 一般に、この貢献度は、先進国では1990年代の時点で
 すでに15%を超えているともされています。
 以前もお話しましたように、
 中国のGDPは「投資」がけん引しており、
 「消費」は遅れを取っていますが、
 それがそのまま形となって現れたともいえます。
 また、外資の積極進出が相次いでいることも、中国の現地流通企業を圧迫しています。
 今回の報告書で指摘されるまでもなく、
 資本力やノウハウでは、
 中国の現地企業はどうしても太刀打ちできませんので、
 現地の状況に適した、
 きめの細かいサービス提供などで、
 消費者の心をがっちりとつかむことが
 今後より大事になってくるでしょう。
 そうした中で、最近大きな動きがあったものとしては、
 北京物美商業集団(ウーマート、8277)。
 この北京物美は、
 日本でも再編で忙しいダイエーは、
 海外事業の撤退も進めていますが、
 その中で、天津で経営していた
 スーパーマーケット12店舗を、買収しました。
 もともと北京に根ざしたコンビニやスーパー展開で
 急成長を遂げてきた北京物美ですが、
 周辺地域としての天津進出を加速させるようです。
 以前、香港現地のアナリストが、
 その財務を絶賛していた記事も見たことがありますが、
 現地小売企業にとっては
 厳しい環境にありますが、
 今後注目していきたい企業の一つです。
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