| 第247回投資と消費のアンバランス、低迷する所得の伸び
 GDPを構成する重要な指標である、投資(固定資産投資)と消費は、
 中国全体で、2004年それぞれ7.7兆元と5.4兆元程度です。
 日本では、
 「GDPの6割が個人消費(だからこそ個人消費が重要だ)」
 というのが定論ですが、
 中国では逆に投資が消費を上回っています。
 伸び幅でみてみても、投資が前年比25.8%増であったのに対して、
 消費は10.2%増です。
 消費の伸び幅が経済成長率全体を上回ったこともあって、
 「消費も堅調」と表現されますが、
 投資の伸び幅はさらに大きく、
 「投資は過熱」というのも事実でしょう。
 この過熱を抑えるためのマクロ調整も、
 やはり05年においても継続されそうです。
 投資と消費を見比べたときに、実額でも、伸び幅でも、
 消費よりも投資のほうが
 圧倒的に高い水準になっているのは、
 決して正常といえるものではないでしょう。
 「中国バブル論」は日本でも依然として盛んですが、
 こうした数値は、
 それを裏付ける材料の一つにもなっています。
 ただ、中国は経済の高度成長期であることは間違いなく、その分、各種インフラ整備が急務で、
 それだけ、投資が増えるという現象そのものは
 正常であります。
 要は、程度の問題でしょう。
 中国が、日本のように
 消費が投資を実額で上回るということになるのは
 まだまだ先のことかもしれませんが、
 少なくとも、早い段階で、
 消費と投資のそれぞれの伸び幅の逆転は求められます。
 投資の過剰な成長を押さえるために、今後も引き締め策は
 ある程度継続されなければなりません。
 と同時に、消費のさらなる成長を引き出さなければなりません。
 ただ、前者は、行政的な手法を含めて、可能性は高いですが、
 後者は、なかなか難しい問題を抱えています。
 というのも、中国都市部の可処分所得ですが、04年の伸び幅はわずかに実質7.7%です。
 経済成長が実質9.5%という時代に、
 国民の所得が、
 その伸び幅に追いついていないというのが、
 中国の抱える根本的な問題を象徴しているのですが、
 所得が伸び悩む中で、
 消費が爆発的に成長する可能性が小さいのは
 いうまでもありません。
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