| 第248回中国の学者見解発表は元切り上げのシグナルか
 2月4日と5日にロンドンで開かれる7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)で、
 人民元の為替レート問題に関する議論が
 話題に上るとみられています。
 2004年10月1日にワシントンで開かれた
 G7への初参加に引き続くものです。
 結果としては、人民元切り上げに関するいかなる決議も
 なされないだろうと予測されています。
 G7コミュニケでは、
 これまでの言い回しを踏襲して、
 中国に「より柔軟な人民元レートの推進」を
 示唆するにとどまりそうです。
 この原稿が掲載されて、
 まもなく、結果が出ますので、
 それをご確認いただければと思います。
 現段階において、中国が元の切り上げを含む為替レートの自由化、
 少なくとも変動幅の規制緩和に動くことは考えられません。
 中国の経済成長が輸出や外資の力に頼る部分が大きく、
 元切り上げによって、
 それらに大きな影響を与えるのは必至で、
 そうなれば、山積みの国内問題に影響が波及し、
 最悪の場合、それこそ社会不安を招きかねません。
 一方で、中国国内でも「そろそろ元の切り上げを考えるべきときではないか」
 という意見が聞かれるようになりました。
 代表的なものとしては、
 04年12月に国家統計局などが行った調査結果が、
 1月終わりに発表されました。
 これは、中国国内の有名経済学者52人を対象に行った経済の見通しに関する調査で、
 発表された結果によれば、
 66%が人民元の為替レートを
 「調整すべきだ」と答えています。
 ちなみに、67%が
 「今後6カ月以内に利上げが行われる」と予測しています。
 あくまでも学者の見解ですので、これが必ずしも政策に反映されるとは限りませんが、
 中国国内で、元の切り上げ、
 少なくとも為替レートの調整を主張する人が、
 専門家の中で、少なくないことが分かります。
 また、この調査結果が、G7への2回目の参加が決まったころに発表されたことも、
 さまざまな観測を呼んでいます。
 中国政府が、こうした調査結果を発表する裏には、
 元切り上げに対する何らかのシグナルではないか、
 ということです。
 05年も、元切り上げは、
 実際に実現するにしろしないにしろ、
 中国の大きなテーマになりそうです。
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