第239回
ブックビルディング導入が中国本土にもたらすもの
華電国際電力(ファディエンパワー、1071)は報道どおり、
中国証券監督管理委員会(CSRC、証監会)が1月14日に
IPO(新規株式公開)解禁の正式発表を行った直後の
翌週月曜日の17日から
A株IPOのためのブックビルディングを開始しました。
中国本土で本格的に
ブックビルディングが導入されたのは、
これが初めてのケースとなります。
そもそも、今回IPOが凍結されたのは、発行価格改革、
つまり、中国本土にも本格的に
ブックビルディング制度を導入しようとしたためでした。
一般的に、ブックビルディング方式は、
引受証券会社が、
新規公開予定の株式会社の発行価格について、
株価発見能力の高いと思われる
機関投資家などの意見をもとに仮条件を決定し、
その仮条件を投資家に提示し、
それをもとに投資家が示す株式への需要を
把握することによって、
マーケット動向にそった発行価格を決定するものです。
今回から中国本土でも
ブックビルディングが本格的に導入されるということは、
裏を返せば、今まで市場のニーズに全く関係することなく
発行価格が決められていたことになります。
中国本土の株式市場が
政治によって左右されるといわれる所以の
一つになっていました。
一方で、今回IPOが解禁されたことを受けて、
実際に華電国際電力が
ブックビルディング方式を開始したほかに、
大型のIPOや新規発行が相次ぐことが予想されます。
今までも、何度かご紹介したように
大型のIPOや新規発行に関する計画は
発表されてきていましたが、
IPOが凍結されていたために
現実味が乏しかった感がありました。
今後は、関連情報が急に現実感を伴うことになりますので、
その「恐怖感」も大きくなります。
中国本土の株式市場は
極端な資金の需給バランスが欠如している市場ですので、
大型IPOや新規発行が続けば、
中国本土の市場はさらに疲弊してしまうことになるでしょう。
これに対する懸念が、
17日の「ブラックマンデー」の
最も根本的な要因となっています。
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