第238回
「うわさ」と「否定」−中国株の情報収集の難しさ
1月14日、中国証券監督管理委員会(CSRC、証監会)が
IPO(新規株式公開)解禁の正式発表をする直前に、
CSRC筋からの報道として、
華電国際電力(ファディエンパワー、1071)が
A株IPOを準備しているという報道が流されました。
今までは、あくまでも市場観測の域を出なかった、
同社のA株IPO報道もここにきて俄然、
真実味を帯びてきたことになります。
その直後に、CSRCのIPO解禁に関する
正式発表が行われました。
今回のことは、
中国株の情報収集の難しさを示すものとなりました。
中国や香港では、最近、
市場に関する「うわさ」が後を絶ちません。
以前にご紹介したC株市場創設にしてもそうです。
報じられたと思ったら、当局などがすぐに否定する、
というパターンが続いています。
C株については、中国において、
当初想定された実体が伴っているかどうかは別として、
言葉としてはすでに定着している感があります。
非常に分かりづらいですが、
また別の機会に最新情報含めて
紹介したいと思っています。
こうした情報氾濫に
最も憤りを感じているのは当局です。
根も葉もないことばかりではないところに、
当局の苦悩があります。
以前、あまりの情報氾濫に対して、
株式市場にスポークスマンを立てて、
その発言だけを公式発表とするような
制度作りが提言されました。
中国ばかりでなく、
世界各国、各省庁に報道官がいるのと同じようなものを
株式市場にまで応用しよう、
という意図だったのでしょうが、
それ以降関連報道を聞きません。
株式市場の当局報道官。
これは、株式市場がどのような情報にでも
左右することから考えれば、
難しい、というよりは、不可能に近いでしょう。
一歩間違えれば、
中国の株式市場の対外開放や
透明度向上にも抵触するやり方となってしまいます。
当面のところ、自力で、情報を収集し、
分析する方法しかないようです。
IPO解禁などのような非常に重要で、微妙な問題ですが、
それでも、事前にシグナルが出ていたことから考えると、
今後の中国株情報を見極めるうえで
大きな教訓になりそうです。
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