第206回
中興通訊の今後のもう一つの課題「海外展開」
中興通訊(ZTE、0763)がH株を発行、
香港市場に上場します。
公募価格は最大で22香港ドルとされています。
H株の株価としては、
BYD(1211)とほぼ同じ水準となります。
中興通訊は、もともとA株も発行しており、
A株の11月26日終値は27.5元、
H株の公募価格がこれをもとにして算出されたのは
間違いありません。
AH格差は1.17倍程度、
H株平均よりも若干下回っている程度でしょうか。
A株も発行しているのに、
このタイミングでH株を再び発行するのは、
いろいろな要因があるといえます。
一つに、中国本土市場は構造的な問題を抱えており、
魅力のある資金調達市場とはなっておらず、
対外開放も限定的で、
その中で完結してしまっている感があり、
中興通訊に限らず、
本土市場のほかの足がかりが欲しいという欲求が、
中国企業には大きいことが挙げられます。
また、中興通訊の今後の課題は、
以前までにご紹介したように、
中国における第3世代(3G)携帯電話での
設備や機器の提供のほか、
海外進出が挙げられています。
すでに、売上ベースで12%を
海外市場から創出していますが、
近い将来、この割合を
40%にまで引き上げるとの目標設定を発表しています。
GSM、CDMA、PHSという
三つのシリーズの携帯電話や設備を提供できるのは、
現在のところまで、中国では中興通訊だけであり、
この強みを中国国内市場で生かしつつ、
中央アジアや南米、東南アジアなど、
移動体通信の未発展市場を
開拓していきたいところです。
そのためにも、
やはり香港という中国企業にとって、
海外市場の第一歩の資本市場に
地歩を固める必要があったのでしょう。
それによって、知名度を上げ、
ブランディングを図りながら、
海外市場への大挙進出を進めていく狙いがあるようです。
特に急成長を果たしてきている中興通訊が、
今後、海外展開をスムーズに進め、
成功させるかどうかが、
今後のさらなる成長にとって、
重要なポイントになってくるのは
間違いありません。
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