| 第205回中国3G主力のW-CDMAに注力する中興通訊の3G戦略
 中国で第3世代(3G)携帯電話サービスがなかなか解禁されないのは、
 3Gの三つの標準のせめぎあいと
 関係があるといわれています。
 3Gの標準として、代表的なものとしては、W-CDMAとcdma2001などCDMA系のものがあります。
 大雑把に言って、日本ではNTTドコモがW-CDMA、
 KDDIのAUがCDMA系のものを採用しています。
 中国では、これらに加えて、
 独自の標準といわれる、TD-SCDMAというものを開発、
 この商用化を目指しています。
 中国の狙いとしては、3Gという多大なビジネスチャンスをもたらすことが
 予想されるものに対して、T
 D-SCDMAという独自標準
 (厳密に言うと中国独自のものとは
 言いがたいとも言われていますが)を普及させて、
 根付かせたいという思いがあるようです。
 しかし、W-CDMAやCDMAの方式が日本をはじめ、世界中で実用化され、
 根強い人気が出ているのに比べて、
 TD-SCDMAは一歩も二歩も
 遅れているというのが現状のようです。
 中国政府としては、
 TD-SCDMAが商用化に耐えられるよう
 技術的な改良が進むまで、
 3Gの解禁を見合わせているのではないか、
 というのが、業界関係者の一般的な見方です。
 TD-SCDMAも改良に改良を重ね、だいぶ商用化が見えてきました。
 そのために、05年6月までに、
 サービスが解禁されるのではないかといわれています。
 現在までに、W-CDMAは中国移動(チャイナモバイル、0941)が、
 cdma2001は中国聯通(チャイナユニコム、0762)が
 採用するとみられています。
 TD-SCDMAは、3Gサービス解禁とともに
 移動体通信に参入が予定されている
 中国電信(チャイナテレコム、0728)や
 中国網通(チャイナネットコム、0906)が
 採用するともいわれています。
 前回、お話したように、12月9日にH株を上場させる
 中興通訊(ZTE、0763)は、
 どちらかといえば、CDMA系に強みを持っています。
 現在、中国聯通への設備提供が
 大きな収益にもなっています。
 しかし、3GはW-CDMAに力を入れています。
 中国において、携帯電話分野では、中国移動が圧倒的なシェアを握っていますし、
 3Gでも他社よりも優位な立場に立つことが予想されます。
 中興通訊が、中国移動やそれらユーザーに対する
 設備及び携帯電話端末の提供を視野に入れ、
 3G設備ベンダーとしての
 地位固めを進める方針であることは
 間違いないようです。
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