第198回
IPO解禁時期で大揺れ、収賄事件の発覚で複雑化
2004年8月、
中国証券監督管理委員会(CSRC、証監会)は
IPO(新規株式公開)や
新株発行などに伴う発行価格を改革するため、
IPOと新株発行を事実上、一時凍結、
関連申請を受け付けない方針を
固めたといわれています。
実際に、同年8月から3カ月間ほど、
IPOや新株発行は行なわれていません。
前回までにご紹介したように、
この措置は、企業による市場からの
容赦ない資金調達が続く一方で、
新規資金の流入に関しては限定的で、
市場の資金の需給関係が悪化している
といわれる中国本土市場では、
好材料として受け止められています。
この措置のおかげで、
中国石油天然気(ペトロチャイナ、0857)のA株IPOや
宝山鋼鉄(600019)の大型新株発行も
自動的に見送られる形となりました。
しかし、同年10月後半になると、
発行価格改革に目処が立ち、
新規定が間もなく発表されると
報道され始めました。
事実、新規定はほとんど固まっているようです。
つまり、IPOや新株発行が
解禁間近とされたわけです。
当然、中国本土市場にとっては、
警戒感が漂い始めました。
これとともに、例えば、
中国石油天然気のA株IPOが
特例的な措置でまもなく実施か、
とも報道されたことが、
警戒感を一層強めたともいわれています。
早ければ11月にも
とうとう解禁ともされました。
そうした中で明らかになったのが、
今回のCSRC職員による収賄容疑、
及びこの職員の逮捕です。
今回逮捕された王小石・容疑者は、
CSRCでは証券発行に関わる部門の幹部でしたので、
発行価格改革にも関わっていたとみられています。
そうなれば、発行価格改革、
つまり新制度の発表そのもの、
発表の時期にも影響を与えないわけにはいきません。
事実、IPO及び新株発行の解禁は
当面見送られる気配が濃厚です。
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