第188回
経済データ延期がシグナル? 9年ぶりの利上げ
中国が9年ぶりとなる利上げを実施しました。
10月28日に発表され、
翌29日は当然のように株価は下落しました。
B株はもちろん、H株も下げました。
政策的に、政府による市場救済は掛け声ばかりで、
具体的な措置が講じられる気配はなく、
また、2004年8月から、
新株発行などに伴う発行価格の制度的な見直しのため、
IPO(新規株式公開)が凍結されてきましたが、
これも11月にはいってから
解禁されるのではないかとの観測が広まり、
このことで、市場の資金的な需給バランスの悪化が
懸念されていただけに、
今回の「利上げショック」は大きなものがありました。
9月に利上げ懸念が広がったとき、
中国人民銀行の周小川総裁は
「(当時、市場でいわれているような
10月1日の“国慶節<建国記念日>”を中心とした
大型連休における)利上げは検討していない」
とコメント。
温家宝首相も利上げに対しては
慎重姿勢を示していました。
こうしたことが市場に安心感を与えていたのですが、
にも関らず、
市場観測の1カ月も経たない時点での金利引き上げが
市場にとっては大きなインパクトとなったという
側面もあるようです。
結果的に、利上げを急ぐような形になりましたが、
これはやはり9月までの統計データを
見極めた結果でしょう。
対外的には10月22日を中心に発表されましたが、
実は9月までの統計データの発表は
もともと同月19日の発表予定で、
急遽発表が延期されたという背景があります。
このあたりも、
利上げに向けたシグナルだったのかもしれません。
ともあれ、
上海B株指数の28日の終値が87.325ポイント、
引け後に利上げが発表されて迎えた
翌29日には85.091ポイント、
さらに週末をはさんで、
11月1日には80.242ポイントをつけました。
その後、反発していますが、
市場の利上げに対する
大きなショックがうかがえる下げ方といえるでしょう。
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