第178回
元切り上げの目先の業績と株価の増強を追うべからず

単純に、人民元が切り上げられれば、
H株を初め、元で決算を行なっている
中国企業は、「切り上げられる」という一時だけで、
もともとの業績を実質的に高めることができます。

また、株価にしても、「世界における株価価値の向上」
が促されることになるでしょう。
H株の株価は香港ドルですが、
元と香港ドルの連動性の強さを考えれば、
元の切り上げが実現すれば、
香港ドル高を引き起こすことになるのは
間違いありません。

ただし、前回までに紹介した通り、
現在の中国で元の切り上げを実施するには
あまりにもリスクが大きすぎます。
それを痛切に感じているのはほかならぬ
中国当局であることは間違いありません。

「中国はまだまだ発展途上であり、
 そのため、基盤が薄弱で、
 元切り上げに伴う衝撃を吸収できない段階」

というのが、中国当局の認識でしょうし、
その認識は正しいと思います。

国家外貨管理局が10月12日に発表した
元切り上げの否定発表では、

「為替変動メカニズムの改善は、
 中国の自主的な選択であり、
 中国社会や経済の許容量から考慮されるべきだ」

「長期的にみて、
 為替変動メカニズムに弾力性が備われば、
 人民元レートは上昇するかもしれないが、
 下降する可能性もあるのであって、
 単純な一面的な変化にとどまることはない」

と指摘しています。

あらゆる株式はみなそうですが、
特に中国株は将来的な成長への期待による
取り引きですので、目先の、
あるいは見せ掛けとなってしまいかねない、
企業業績や株価の「増強」を望むよりは、
中国の安定成長を実現できる、
そうした環境を整えることが先決であり、
中国株投資にあたっては、
人民元切り上げを短期的に期待することは
愚策といえるでしょう。

中国当局も、何よりも今後の高度成長、
かつ健全で安定した成長の実現のためにマクロ調整策、
つまり金融引き締めなどを実施しているのです。
この「調整期」に、混乱をもたらす可能性が大きい
元切り上げを実施できるとは思われません。

当ページは、投資勧誘を目的として作成されたものではありません。
あくまで情報提供を目的としたものであり、一部主観及び意見が含まれている場合もあります。
個別銘柄にかかる最終的な投資判断は、ご自身の判断でなさるようお願いいたします。

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2004年10月28日(木)

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