| 第179回5%以上の期待感を相殺、元切り上げ否定後の相場
 韓国や香港メディアでは、 「思い切った人民元の切り上げは無理だが、小幅なものであれば短期的にでも可能ではないか」
 という論調が根強くあります。 しかし、諸外国が望むのは当然ある一定程度の切り上げであり、
 中国当局としても、現時点で、
 小幅な切り上げを実施することは、
 国内的にもまったく意味がなく、
 外交カードにもならないことは、
 十分に承知しているものと思われます。
 国家外貨管理局の発表を待たずとも、人民元の切り上げが短期的に行われる可能性が
 少ないことは前回までのように、
 容易に指摘できますが、現実の株価の動きとしては、
 それに対する失望がかなり大きかったのは、
 10月13日から14日にかけての
 H株指数急落に現れています。
 以前にも紹介した通り、10月8日の高値4838.55ポイントから、
 10月14日には安値4515.20ポイントをつけ、
 実に323.35ポイント下げて、
 6.68%の急落しています。
 この急落は、原油高や黄銅価格の急落も背景となっており、一概に人民元切り上げ否定だけが
 要因ではありませんが、
 この急落の大きな部分を占めているのは
 間違いないでしょう。
 いわば、5%以上の期待感が、マーケットに元切り上げの期待感として
 存在していたことになります。
 この5%をどのように考えるかは難しいところですが、一ついえるのは、元切り上げの期待感が減退し、
 株価に十分に織り込まれた、
 というところではないでしょうか。
 以前、H株指数がごく短期間に5000ポイントの大台に乗り、
 今後3カ月から半年の間に、
 史上最高値5440.75ポイント(2004年1月5日)が目標、
 この「3カ月から半年の間」というスパンは、
 条件次第では短縮される、
 としたことに拘泥するわけではないのですが、
 「元切り上げ否定のショック」は、
 アクシデントの一つではありましたが、
 今後の展望としては、
 すでに株価に織り込まれたということで、
 安心材料になるかもしれません。
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