第169回
証監会 VS 国資委 避けがたい戦いは証監会に分
「社会公衆株株主の合法的権益の保護を
強化することに関する若干の規定」が実施に移されれば、
国有株や法人株など、
最終的には国に代表される非流通株主の権力や権限は
かなり抑えられ、
中国本土市場における我々一般の海外投資家を含む
中小の流通株主の権力が強化されます。
一面喜ばしいことですが、
反発もあります。
反発の急先鋒は、
国有資産監督管理委員会(国資委)です。
名前の通り、
この委員会は国有資産の監督管理はもちろん、
評価損や実際の外部流出が激しいとされている
中国の国有資産の維持、
あるいはその合理的な価値増大に
責務を負っている中央省庁です。
非流通株主の権力や権限が低下すれば、
現在までに深刻化する国有資産の流出加速にも
つながりかねません。
国資委が黙っていないのは無理もないことです。
以前にご紹介した「郎監管」こと郎咸平氏も、
「グリーンクール社による国有資産簒奪」などを
徹底的に批判していることでも、
国有資産の流出が極めて重大な問題であることを
表しています。
市場の活性化のためには、
中小株主の保護を優先したいCSRCと、
そのために非流通株主の権力や権限の
低下に迫られている国資委、
という二つの官庁が対立するという構図です。
今回は国資委に分がありそうもありません。
中国の本土市場が数年来の低迷続きであるのは
誰の目にも明らかであり、
この改善が急務となっています。
そのための、
今回のCSRCの措置は的を得ているといえます。
CSRCと国資委はすでにトップ同士が
水面下で協議を重ねているとも伝えられています。
この件に関しては、CSRC主導で事が進みそうです。
それにしても、
このCSRCによる中小株主の保護姿勢の明確化を含めて、
今まで紹介してきたように、
QFIIの拡大、保険資金の株式市場、投資信託の法整備
及び商業銀行によるファンド参入解禁への動きなど、
行政的な措置が次々に講じられています。
それは、やはり、9月13日に温家宝・首相が主催した
国務院常務会議で
「資本市場の改革開放と安定的な
発展推進に関する若干の意見」
いわゆる「国九条(9条意見)」の徹底という方針が
確認されたことが大きかったようです。
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