第167回
中小流通株主の権益保護に一手、非流通株主抑え込み
国有企業グループ、最終的には国など大株主が
市場の中小株主の権益を侵害し、
このことが株式市場への信頼を
喪失させている問題について、
中国証券監督管理委員会(CSRC、証監会)は
「社会公衆株株主の合法的権益の保護を
強化することに関する若干の規定」草案の
パブリックコメントの収集を9月26日に開始しました。
業界では、これは、9月13日に
温家宝・首相が主催した国務院常務会議で確認された
今年1月31日発表の
「資本市場の改革開放と
安定的な発展推進に関する若干の意見」、
いわゆる「国九条(9条意見)」の徹底という方針に
基づいて行なわれるもの、とみられています。
CSRCにとっては、これを通じて、
流通と非流通に分けて考えられていた
中国独特の株式構造の是正の第一歩にしたい
考えがあるようです。
3分の1の流通株と3分の2の非流通株という関係上、
最終的に国に代表される
非流通株の権力が圧倒的に強く、
市場で実際に取り引きを行なう中小の流通株主の
権益侵害が深刻化していたのです。
例えば、中小流通株主の意向を反映せずに、
親会社が資金欲しさに、
上場企業に対して新株発行に伴う増資を
やらせるようなことが目立ちました。
新株を発行すれば、当然、既存の株価は希薄化されて、
通常でも既存株主には(一時的にせよ)
不利になります。
それが、低迷の続く中国本土市場においてであり、
中小株主であればなおさらでしょう。
こうしたことが繰り返されたために、
中小株主の市場からの撤退が加速、
このことが市場の信頼感を喪失し、
中国本土市場の低迷につながったともいえます。
今回発表された草案では、
上場会社が新株を発行したり、
割当増資を実施したり、
さらには転換社債、
傘下企業の海外における分割上場など
重大な事項に関して、
全株主ではなく、流通株主の半数以上の同意を
得なければならないと規定しています。
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