第153回
海外への分割上場規制、スピンオフ乱用に一手
「中国企業、海外逃亡」について、
むしろ分は中国企業側にあるといわざるを得ません。
それでも、中国当局は、いろいろと動き始めています。
例えば、今年8月、
中国証券監督管理委員会(CSRC、証監会)は
中国国内の上場企業が海外市場に分割上場するには
7つの条件が必要との見解を示しました。
1.その上場企業が3年連続黒字を計上していること
2.直近会計年度の連結財務表において、
分割しようとしている企業の純利益が
連結全体の50%を超えていないこと
3.直近の会計3カ年度内における
新株発行や資金調達に向けられた業務や資産が
分割しようとしている企業であってはならない
4.直近会計年度の連結財務表において、
分割しようとしている企業の純資産が
連結全体の30%を超えていないこと
5.その上場企業と
分割しようとしている企業が競合せず、
資産や財務が独立しており、
経理人員の兼任がないこと
6.その上場企業の資金や資産を個人や法人、
そのほかの組織が占有していないこと、
あるいはその上場企業の権益を脅かしかねない
関連取引がないこと
7.その上場企業が過去3年、
重大な違法違約行為がないこと
一見すると、あまり難しくない、
むしろ当然のことばかり
書かれているような感じですが、
実は、この発表を受けて、
多くの企業の分割上場計画に
影響を与えることになりました。
実情として、上記のような発表を行って、
これを規制しなければならないということは、
上記のような当たり前のことにも反するような
分割上場が相次ぐ恐れがあることを
示しているといえます。
一部の企業では、
計画を白紙撤回しなければならない
事態にもなっています。
分割上場は、容易に資金を調達できる方法として、
中国企業の間で浸透してしまっている、
というのがその背景にあります。
グループ全体の構成上、
分割上場するには無理があるものの、
「やってしまえ」ということです。
この発表はそうした傾向に
歯止めをかけるもので、
業界からも高評価を得ています。
そうなると、「中国企業、海外逃亡」において、
やはり、中国企業側にも責はありそうです。
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