第151回
有望な中国企業が中国本土に上場せず海外に逃亡
中国の企業の海外市場での株式上場が
近年、加速しています。
中国本土市場では外国人の取り引きが
大幅に制限されていますので、
中国企業の中でも
有望な企業の株式売買できる環境ができるとして、
外国人にとっては歓迎すべきことですが、
当の中国本土市場ではたまったものではありません。
「大型で有望な中国企業が、
中国本土に上場せず、
海外に逃げていってしまう」
というのは、客観的にみて、
確かに、危機的状況です。
しかし、株式上場を考える中国の企業にとっては、
「低迷して、光明が一貫して見えない状態の続いている
中国本土企業に上場しても意味がない」
という意見もあるでしょう。
こうした傾向のある中で、
9月8日、上海証券取引所の高級幹部が、
「日本や韓国、香港、シンガポール、
どの国や地域をみても、
地元企業が国内市場より先に、
あるいは優先的に海外に上場する例など
見当たらない」
として、現状について、痛烈に批判しました。
国務院発展研究中心の夏斌氏、
あるいは中国証券監督管理委員会(CSRC、証監会)の
劉鴻儒・元主席もこの傾向について批判する論説を
メディアに載せているともいわれています。
今後、もしかすると、
こうした中国国内の優良企業の
海外上場に対しての批判の声が高まり、
海外上場に対する規制が進むことも考えられます。
私個人は、その前に、
A株を中心とした中国本土市場の改善のほうが
急務と考えています。
A株が低迷から脱し、魅力的な市場になれば、
中国の有力企業も、何も好き好んで海外に行かず、
国内で上場するようになるでしょう。
それには、A株の海外に向けた市場開放も当然、
必要になってきます。
中国企業の世界進出を奨励しているのは、
中国政府自身ですので、
現在のA株に上場しても
世界とのつながりがないとなれば、
やはり、A株上場は中国企業にとって
避けるべきものとなってしまいます。
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