| 第149回「郎監管」が指摘する「民間企業神話」のからくり
 香港中文大学教授の郎咸平氏によるグリーンクール社(8056)及び
 その顧雛軍・総裁に対する批判は、
 グリーンクール社による
 広東科龍(ケロン、0921)買収に伴う動きを
 引き合いに出して行なわれます。
 郎氏によれば、グリーンクール社による
 広東科龍以外の買収方法も
 これに準じたものが採用されたといいます。
 共通のやり方としては、買収先をまず大幅な赤字企業に
 仕立て上げることによって、
 買収価格を引き下げます。
 その方法として、顧氏が買収対象の企業に事前に「潜入」、
 董事(取締役)などに就任することで、
 コストを意図的に増やし、
 赤字を計上させるようにしているといいます。
 買収4社の赤字計上は、顧氏が董事や董事長就任時に行われていると
 郎氏は指摘します。
 買収価格を引き下げた後に、実際に買収し、
 その後、コスト増などの要素を取り払い、
 「再生」させ、莫大な富を創出するといいます。
 郎氏は、顧氏が買収対象企業を赤字にする手法として、経営コストを故意に引き上げたといいます。
 例えば、広東科龍の場合、
 顧氏の董事長就任以前の経営コストは
 売上高に対して10%程度だったが、
 就任後、20%に引き上げられたと主張します。
 家電製造業の利益率は総じて5%以下なので、
 この経営コストの急上昇が
 すぐに赤字計上につながると郎氏は指摘します。
 赤字計上によって、買収額は当然のように引き下げられます。
 安値で買収後、経営コスト増となった要因を
 取り除いてやれば、これも当然、
 黒字転換が図られることになります。
 コスト増の要因を作った自身が、その要因を取り除くのですから、
 これほど容易なことはありません。
 赤字企業を安く叩いて買収、
 買収後、労力かけずに黒字転換、
 この繰り返しを行なえば、
 富は自然と湧き上がってくる仕組みです。
 民間人の顧氏の富が増加することは、
 結局、買収先の国有資産を顧氏が「せしめている」
 ことになると郎氏は指摘します。
 郎氏は、「こうして、顧氏は『民間企業神話』をでっち上げた。
 真相は、民間企業による
 国有資産の強奪に他ならない」とします。
 前回にお話した、郎氏が指摘する顧氏の「三国志の時代に勝るとも劣らない策略」
 を振り返ってみてください。
 前回だけを読んでもぴんと来なくても、
 今回のものとあわせてお読み頂ければ、
 説得力をもって理解できるでしょう。
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