第134回
非流通株放出価格はBPSで決まりか?
株式の価格というのは、
状況に応じて、
いろいろ考えられるものです。
額面−発行価格−BPS(1株当たり純資産)−時価
などなど(例外はあります)。
この時価が実際の市場で取引される株価のことです。
一部の例外を除いて、
通常、上記の株式の各種価格は
左に進むにしたがって高くなります。
非流通株式の市場放出価格は「時価」で、とすると、
国や実際の運用管理する法人格側にとっては、
大きなメリットがありますが、
非流通株式の莫大な数量を考えれば、
市場における需給関係が極度に悪化、
市場参加者に大きな衝撃をもたらします。
ただ、「額面」「発行価格」などとすると、
市場参加者からはもしかすると
拍手喝さいされるかもしれませんが
(非流通株式の莫大さを考えれば、
どんなに低価格でも、
やはり需給関係の悪化は
多かれ少なかれ起きることは予想できます)、
国側にとっては、大きな損失になります。
国有資産が個人や海外などに流出する事態が加速、
深刻化している現在の中国において、
どんな形でも国有資産が急減するような方策は
好ましくないと考えるのは当然のことです。
そこでクローズアップされてきているのが、
BPSです。
総発行株式数÷純資産によって算出されるものです。
この指標はROE(株主資本利益率)や
PBR(株価純資産倍率)などを算出する際にも
利用される重要なものですが、
要はその会社の自己資金を
1株当たりで計算したという指標で、
その会社本来の財務健全度を推し量るには最適ですし、
会社の実力が如実に反映されるものといえます。
PBRは株価÷BPSですが、
これが現在、
注目されつつある指標になっているところにも、
BPSの重要性を見出せます。
この各社のBPSを
各社の非流通株式の市場放出における
放出価格にすべき、
との意見が専門家から出されており、
幅広い支持を得つつあります。
業界では、非流通株式の市場放出価格が
BPSにほぼ収まるのではないか、
という見方がすでに一般的になっているともいえます。
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