| 第135回親会社持ち株放出で負債を相殺する、上場会社財務改善
 非流通株式の市場放出価格はBPS(1株当たり純資産)で、という意見は、
 特に目新しいものではありません。
 私の知る限り、
 数年前から唱えられている意見でもあります。
 それが注目されなかったのは、BPSとする根拠がどうしても希薄であること、
 政府が沈黙を守っていること、などが挙げられます。
 しかし、最近になって、非流通株式とその市場放出にも深く絡み、
 さらにBPSも関係するような方針が
 政府筋によって示されたことで、
 非流通株式の市場放出=市場放出価格が最重要課題=BPSか?
 という等式が脚光を浴びたためです。 それは、「以股抵債」と呼ばれるものです。 中国では、親会社や関連会社などによる上場会社に対する借り入れが頻繁に行なわれ、
 それが焦げ付くか、
 あるいはなかなか返済されないことによる
 上場会社の財務体質の悪化が問題となっていました。
 これに対して、親会社など関連会社は
 自身が保有している、
 その借り入れを行っている上場会社の
 株式を売却することによって、
 負債を相殺するという方法が
 認められる方針が示されました。
 親会社など関連会社が保有している株式こそ、国有株や法人株など
 非流通株式と呼ばれるものが多かったために、
 今までは、その放出による負債の相殺は、
 非流通株式、つまり国有資産の流出につながる、
 ということで禁止されてきました。
 しかし、現在までで、このままいくと、
 財務が極度に悪化する上場会社が
 増えてしまうことになるため、
 「以股抵債」が認められるとの方針になったようです。
 これが実現できれば、上場会社の財務体質の改善につながることになります。
 当然、市場にとっては、喜ばしいことです。
 さらに、考え方を変えれば、
 これは、非流通株式放出の新たな形態を提示するもの、
 ともいえます。
 市場に納得してもらう形での
 非流通株式の市場放出のための
 足がかりになるのではないか、
 ともみられています。
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