第124回
悪すぎる材料だらけで「市場育成策発表の好機」
「国有株放出」問題、
米中の利上げ、
QDII(指定国内機関投資家)制度導入などなど、
市場の材料が悪すぎます。
特に中国本土市場にはきついニュースです。
さらに、自動車ローン業務の縮小などで
自動車市場が減退しているにも関わらず、
一段の引き締め策に対する懸念は
払拭されるどころか、事あるごとに、
警戒感を強めるようなニュースも飛び出しています。
電力不足によって、一部の工場の生産が
停止せざるを得ない状況も、
経済成長に水をさすことになりかねません。
当然、中国政府による中国資本市場の育成策に
変更があるわけがありません。
むしろ、先物市場の整備や確立を含めて、
資本市場の育成策強化の動きのほうが顕著です。
中国政府としても、
いたずらに株価の下落を促すような政策は
実施できない状況にあるはずです。
そうした背景の中、発表されたのが
中国石油天然気(ペトロチャイナ、0857)の
A株IPO(新規株式公開)計画です。
普通に考えれば、
明らかに「泣きっ面に蜂」です。
エネルギー政策が急務となっていることを
考慮したとしても、
現状においてはとても市場に
プラスになるようなものではないからです。
ただ、あまりにも悪い材料が出すぎていることは、
逆に言えば、中国政府は「市場育成策発表の好機」と
とらえているのではないかとも想像できます。
中国の本土市場は弱含みが続いており、
その抜本的な解決はまだまだ不透明です。
「国有株放出」は懸案であるとはいえ、
解決されなければならない問題であり、
インフレ激化も懸念される中、
利上げも確かに検討されなければなりません。
そうした時だからこそ、
このタイミングで市場活性化の方針を打ち出せば、
その効果はただ単に活性化だけにとどまることなく、
相乗効果を生むことも考えられます。
市場が元気であれば、
中国石油天然気のA株IPOは
必ずしも悪材料ではなく、
むしろ、中国を代表する企業の
中国本土デビューということで、
歓迎される可能性もあります。
うがった見方をすれば、
中国石油天然気のA株IPOは、
中国政府による市場活性策のための序曲、
あるいはメインイベントなのかもしれません。
以上は当然想像の域を出ません。
そのため、具体的に
どのような活性策が考えられるのか、
図りかねるところですが、
要は、今後も中国政府の政策動向を
見守りたいということです。
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