第123回
あまりにも悪材料が出すぎている中国本土市場
中国石油天然気(ペトロチャイナ、0857)による
A株のIPO(新規株式公開)は、
現在のままでは、
中国本土市場に
大きな影響を与えることは間違いありません。
弱含んでいる現在の市場環境の中では、
それは大きなマイナス影響となることも
容易に想像できます。
A株市場がさらに弱含めば、H株を中心として、
香港市場にも悪影響が出てくることも考えられます。
以上のように、
中国石油天然気によるA株IPOは、
素直に考えれば、
中国本土と香港の株式市場に
あまりいい影響をもたらしそうもありません。
事実、このIPO計画が発表されて以降、
市場では売り材料とみなされることもありました。
中国政府がエネルギー政策に
本腰を入れていくにしても、
中国政府にとっても、株式市場にマイナスの影響、
それも非常に大きなものが予想されるような施策は
なかなか打ち出しづらいはずです。
にもかかわらず、
中国政府が国策に沿って、
そのフラグシップとして期待する
中国石油天然気のA株IPO計画を
後押しするようなことがあれば、
その裏を考えてみる必要もありそうです。
7月も後半になって、中国本土市場では、
「国有株放出」問題が再燃してきています。
要は、中国政府などが保有している上場企業株式を
市場に流通させようというものです。
まだ市場に流通していない中国の上場企業株式は、
中国の上場企業全体の累計の総発行株式数の
3分の2にも相当するといわれています。
中国本土市場の時価総額は4兆−5兆元、
流通時価総額は1.2兆−1.5兆元という数字が
それを証明しています。
この莫大な非流通株式が
市場に放出されればどうなるか、
誰の目にも明らかです。
市場は供給過剰に陥り、
弱含み傾向がさらに加速されることになるでしょう。
さらに、一部の情報では、中国において8−9月、
あるいは10月にも利上げを実施するのではないか
といわれています。
香港にとっては好材料となる
QDII(指定国内機関投資家)の導入は、
A株にとっては、基本的に悪材料です。
中国天然気のA株IPO計画含めて、
あまりにも悪材料が出すぎているような気がします。
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