第122回
ペトロチャイナのA株IPO計画は政策的な判断

石油を中心としたエネルギー問題に対して、
本腰を入れ始めた中国政府が考えるのは、
中国国内の石油企業の体力増強であることは
不思議ではありません。

そのため、中国石油天然気(ペトロチャイナ、0857)による
A株のIPO(新規株式公開)は、
政府の政策と密接に結びついたもの、
ともされています。
その分、計画の実行性は
高くなっているともいえます。

中国石油天然気の03年本決算における
最終利益は700億元近くに達しています。
純資産は3560億元以上、
豊富な資金力を有していることは明らかです。
中国石油天然気は積極的な事業展開を進めており、
国内外で莫大な投資を行なっていますが、
そうした段階においてさえも、
最大でも400億元の資金調達とされている
A株のIPOは、純粋な資本政策としての意義は
薄いとも考えられます。

やはり政策的な意味合いが強いというのが
今回のA株IPOの実情でしょう。
現在までに香港とNY市場に上場している
中国石油天然気ですが、
今後政府が本腰を入れて
エネルギー政策を進めていく上で、
そのフラグシップとなることを見据えた上で、
中国本土において、資金調達のルートを
開拓しておく必要があると
考えているのかもしれません。

しかし、中国石油天然気にとっては
最大で400億元は必ずしも大きな資金とは
いえないかもしれませんが、
中国本土市場に与える影響は大きいものがあります。
中国本土市場の時価総額は4兆−5兆元、
流通時価総額は1.2兆−1.5兆元とされています。
これだけみれば400億元といっても
たいしたことがないように見えるかもしれませんが、
心理的影響は莫大です。
特に弱含んでいる現在の市場環境ではなおさらです。
中国石油天然気のA株IPO計画が報道されて以降、
市場の資金が吸収されてしまうのでないか
との懸念が広がっています。

当ページは、投資勧誘を目的として作成されたものではありません。
あくまで情報提供を目的としたものであり、一部主観及び意見が含まれている場合もあります。
個別銘柄にかかる最終的な投資判断は、ご自身の判断でなさるようお願いいたします。

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