第104回
「外資」めぐって二転三転の燕京ビール、日系も奮闘
北京控股(0392)の傘下で、
中国ビール第3位(北京市におけるシェアは圧倒的)で、
A株を発行する燕京ビールでは、
ハルピンビールを中心とした外資の買収合戦、
あるいは外資の対中進出加速を受けて、
発言を二転三転させています。
ハルピンビールの買収合戦で、
アンハイザー・ブッシュ(AB)社が勝利を収め、
一段落した6月9日、
北京控股では燕京ビールの今後の戦略として、
「国産ブランドを貫く」と明言しています。
外資の進出が激しくなる中で、
独自路線を進むことの表明とも受け取れます。
その時も、外資からの申し出があることを否定せず、
むしろそれを匂わせていましたが、
それを拒絶するような態度をとることで、
「反外資」を鮮明にしたものです。
しかし、それから半月も経たないうちに、
北京控股では燕京ビールについて、
外資との協力も視野に入れていく方針を示しています。
二転三転するところに、
中国のビール業界の微妙な勢力関係が
見え隠れしているようで興味深いところです。
AB社やSAB Miller社のことばかり
取り上げてきましたが、
日本のビール各社に目を向けてみると、
アサヒビールは先日、
北京にある新工場の稼動を発表し、
「北京」ブランドの新商品を販売しています。
キリン、サントリー、サッポロの日本メーカー各社も、
頭打ちとなっている日本市場から、
成長著しい中国市場にシフトを移して、
激しい戦いに挑んでいます。
そのうち、サントリーは
上海市場でかなり大きなシェアを獲得し、
上海市民にとっては
お馴染みのビールになってきています。
青島ビール(山東省)、
華潤ビール(南方地域あるいは四川省)、
燕京ビール(北京市)など、
それぞれ本拠地となる地域から
中国全土に展開していますが、
上海発の全国区メーカーがない点で、
サントリーの強みが大きく発揮できた
という側面もあったようです。
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