| 第61回経済過熱抑制への警戒感、自動車銘柄は有望か?
 ここ何回かにわたって、中国の自動車産業と関連する
 中国株銘柄について紹介してきました。
 これは、日本における中国株取引においては、
 自動車銘柄が多くの注目を
 集めているためではありますが、
 そのほかにも理由があります。
 例えば駿威汽車(デンウェイキシャ、0203)の株価の推移を見てみると、
 03年4月12日終値で9.65香港ドルをつけましたが、
 同21日までに7.6香港ドルまで下げました。
 この10日間だけで、
 実に20%以上下げたことになります。
 これは駿威汽車に限ったことではありません。ほかの自動車銘柄も
 多かれ少なかれ下げています。
 さらには、自動車銘柄に限らず、
 H株やレッドチップなど、
 全体的に下げています。
 これは、前にもお話しましたが、
 中国政府が04年の経済成長を、
 前年実績2ポイント以上下回る7%と設定、
 経済過熱抑制策の徹底を図るのではないか、
 という不安に基づくものです。
 経済過熱抑制策の最も有効な手段は規制の強化です。
 つまり企業活動を制限することにつながります。
 その対象は主に、
 鉄鋼、電解アルミ、セメント、
 カーバイト、コークスなどの業種となる見込みです。
 自動車は直接は関係ありませんが、
 何らかの影響は必至、と市場は見ているようです。
 経済過熱は確かに心配です。これを抑制する動きは
 これからも当然出てくるでしょう。
 ただ、各産業に痛手になるような、
 急ブレーキをかけるような政策は取らないと私は見ています。
 その混乱で、最も損をするのは
 中国政府であることは、
 私が指摘するまでもなく、
 中国政府自身、よく分かっているはずだからです。
 ただし、こと自動車産業に限って言えば、市場競争の激化から、
 製品価格が急落していることは
 確かに気になる要素です。
 また、上場しているような企業は別ですが、
 中国には規模がまちまちの有象無象のメーカーが
 各地に存在するといわれています。
 市場の育成を考える上では、
 これら弱小メーカーの存在は
 むしろマイナスとなります。
 しかし、中国政府による経済過熱抑制策が、
 むしろこうした弱小メーカー群の
 淘汰に向かう方向のものであれば、
 上場しているような、
 しっかりとした自動車メーカーにとっては、
 市場環境の整備につながるとして、
 有利な展開になる可能性もあります。
 
           
            | −中国株自動車銘柄主要5社の株価推移(2002年末終値=100)− |  
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