第54回
中国電信は赤字資産買収の覚悟を示す必要あり
中国電信(チャイナテレコム、0728)は
今回の親会社の資産買収に際して、
公式発表で、新株として
「75億株のH株を発行する」
という仮設定を掲げています。
中国電信の総発行株数は
746億株ですので、
それと比べると1割程度です。
しかし、流通H株数は現在までに
総発行株数の1割に相当する80億株程度です。
もし中国電信の想定どおり
親会社の資産買収のために新株を発行すれば、
H株数は一挙に倍増することになります。
2−3香港ドル程度でとどまっている
現在の同社の株価から考えて、
この新株発行計画は
あまりにも市場に対する影響が大きいものと
いえるでしょう。
これにはいくつかの側面があります。
一つには、
現在までに赤字事業である
買収予定資産の更生や活性化に
非常に大きな自信があることを示しているといえます。
例えば、今後、
同社の収益ポイントの一つとして、
ブロードバンド(BB)事業がありますが、
上海市や広東省におけるBBの普及率はすでに
先進国並みあるいは
先進国水準を越えているといわれています。
現在までに、
BB事業は同社にとっても急成長分野です。
ただし、今まで管轄していた地域での
今後の爆発的成長は
あまり期待できないのも事実です。
今回、親会社から買収するのは
中国の西部地域が中心で、
一般的には発展途上地域として
位置付けられていますが、
潜在力という意味では、
魅力的といえば魅力的です。
ただ、一方で、
「親会社の赤字資産を買収、
その資金を市場から調達する、
つまり、赤字資産を市場で清算する」
と受け取れないこともありません。
中国でも問題となっている行為の一つですが、
このように受け取られない
中国電信側の努力も必要になってきます。
それには赤字資産の早急な、
目に見える形での更生が求められます。
このあたり、
同時にニューヨークにも上場している
中国電信にとっては、
アメリカの市場の
さらに厳しい「目」を経なければならない、
それに対応しなければならない、
という意味で、
中国電信にとっては大きな試練ですが、
投資家にとっては安心材料にはなります。
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