第53回
あえて赤字資産を買収、中国電信の狙いとは?
今回、
中国電信(チャイナテレコム、0728)が
親会社の中国電信集団から買収する資産は
中国の10省に及ぶ固定電話網、
インターネット網、インフラデータ、
ネットワークのレンタルサービスの各事業です。
中国電信は現在までに上海市、
広東省、浙江省、江蘇省、安徽省、
福建省、江西省、江西省、重慶市、
四川省で通信サービスを展開していましたが、
今回発表した買収計画では、
新たに湖北省、湖南省、海南省、
貴州省、雲南省、陝西省、甘粛省、
青海省、寧夏回族自治区、
新疆ウイグル自治区の通信事業を
その傘下に収めることになります。
これで中国全土20の省と直轄市の
通信サービスを行うことになるわけです。
そもそも中国電信は、
親会社の優良資産を引き継いで、
香港とニューヨークへの上場を果たしました。
分割当時は、上海市、広東省、
浙江省、江蘇省の
わずか四つの事業からスタートしています。
つまり、これまでにも親会社からの買収を
進めてきていたわけです。
親会社からの資産買収は
中国株においては特に珍しいことではありません。
業容の拡大という意味で、
上場企業に資産を注入して、
上場企業の価値向上を目指すのは、
国有企業としての全体上場が難しい中国企業においては、
上場企業を有すグループとしては
当然考えなければならない戦略の一つとなっています。
中国電信を例にとっても、
売上高ベースでは確実な成長を遂げており、
企業規模の拡大という意味では、
親会社からの資産買収戦略は
奏功しているといえます。
ただし、
今回買収する10省の資産は赤字事業です。
03年の赤字額は
108億元に達していると言われています。
中国電信が発表した03年の最終利益は
246億元ですので、
その赤字額の大きさがうかがえます。
中国電信では買収後、
新規買収事業の利益を47億元と見込んでおり、
黒字転換はもちろん、
同社の収益成長の原動力と見込んでいます。
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