第52回
中国電信の親会社資産買収から見る一連の騒動
中国の四大通信キャリアの一つである
中国電信集団の上場旗艦である
中国電信(チャイナテレコム、0728)が
親会社の中国電信集団から
電話網などの資産を買収する方針を決定、
その資金を新株発行によって
調達することが発表されたために、
4月13日から株価を大きく下げました。
イースター休暇直前の4月8日の終値が
2.83香港ドルであったのに対して、
13日は2.725香港ドル、14日には2.550香港ドル、
15日には2.525香港ドルといった具合です。
親会社の資産買収及び
新株発行に対する観測は
かなり前からなされていましたが、
諸々の要因から
「新株発行は行わないのではないか」
との見方も根強かったために、
今回、新株発行のほぼ正式な発表が行われたことの
市場に対する大きな影響を反映した形といえます。
なぜ「新株発行は行わないのではないか」
と考えられたかといえば、
中国電信集団及び
中国電信の直接のライバルである
中国網通(チャイナネットコム)の
IPO(新規株式公開)が控えているためです。
四大通信キャリア最後の一角である
中国網通のIPOは、
市場からの期待も大きく、
あくまでも相対的にですが、
中国電信を含む
その他四大通信キャリア三社の価値は低下しています。
こうした中で、
新株を発行することは
供給過剰を引き起こし、
株価下落を招くのは必至です。
そうした株価下落が分かりきっているタイミングで
新株発行を行わないだろうという予測があったわけです。
この予測は見事に裏切られ、
中国電信は新株を発行する方針を発表しています。
その背景や影響を
もう少し詳しく見ていきたいと思います。
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